
「動画を作ろう」と決まったあと、検索すると出てくるのは制作会社の実績ギャラリーと料金表が多いのではないでしょうか。きれいな映像は並びます。でも、自社はどれを頼めばいいのかが分からないですよね。展示会用なのか、採用用なのか、会社紹介なのか、そこで迷ってしまうことが多いんです。同じ「企業の動画制作」でも、尺もトーンも、撮る場所もまったく違います。
企画会議で「とりあえず全部入れよう」と決まった動画は、だいたい誰にも刺さりません。旅行の荷物を全部詰めたスーツケースと同じで、閉まらないんですよね。
この記事では、会社ランキングは出しません。代わりに、目的別の6つの型と、発注前に決めること、制作の流れ、費用の構造、納品後の活用までを1本で整理していきます。
別記事の「YouTube動画制作会社の選び方」との違いも、先に書いておきますね。あちらは「YouTube外注のタイプと見積もり」で、こちらは「企業動画全般を、目的別にまとめた入り口」です。用途がYouTubeに寄るなら、両方をセットで読むと手が止まりにくくなります。
YouTube向けの外注先の比べ方は、別記事の → YouTube動画制作会社の選び方 に任せ、本稿は「動画全般を目的別にまとめた入り口」に振り切ります。
先に答え
企業の動画制作とは、会社紹介や採用、展示会などの目的のために、会社が映像を作って役立てることをいいます。最初の1本は目的を1つに絞り、納品後にどこで流すかまで決めてから発注すると失敗しにくくなります。制作会社を選ぶのは、そのあとで十分間に合いますよ。
この記事のポイント
- 企業の動画制作でよく使う6つの用途とその見分け方
- 最初の1本の目的を1つに絞る方法
- 実写・アニメ・インタビューなど表現の選び方
- 発注前の準備、制作の流れ、費用がかかる場所の構造
- 納品後の活用(サイト・営業・企業YouTubeチャンネル)とチェックリスト
こんな人向け
広報、採用、営業企画、マーケ責任者など、「会社の動画を1本〜数本発注する立場」の方に向けて書いています。
YouTubeチャンネルを継続運用する設計から知りたい方は、先に企業YouTubeの記事をどうぞ。
メモ
用途の型・失敗例・やり取りの例は、考え方を分かりやすくするための例示です。実名で触れる事例の数字は、各社が公開している情報(自己申告)をもとにしています。費用の具体金額は書きません。
目次
1.企業の動画制作とは? 「きれいな1本」より先に決めること
結論
企業の動画制作は、事業の目的を伝えるための映像資産づくりです。美しさは手段なんです。
個人の趣味の動画と違うのは、ゴールが「面白い」ではなく、問い合わせ・応募・理解・信頼といった事業の数字にある点です。

CMのような派手さが必要なケースもありますよね。一方で、BtoBの説明動画では、派手さより「誰に・何を・どこで見せるか」の方が効くことが多いはずです。
よくある誤解3つ
| 誤解 | 実際に起きやすいこと |
|---|---|
| 高画質なら成功 | 置き場所と「見たあとに何をするか」の案内がないと、社内フォルダで眠る |
| 1本ですべて伝わる | 目的が複数だと、メッセージがぼやける |
| 作れば見てもらえる | サイト・営業・展示会・広告など「出す場」の設計が別途いる |
「動画がある会社」と「動画が働いている会社」は、別物なんです。
後者は、発注前に目的と置き場所が決まっています。
企業が動画を使う主な場面
場面はだいたい次のどれかに落ちます。
- まだ知らない人に、何の会社かを短く伝える
- 候補者や顧客に、空気感や人を伝える
- 展示会や店頭で、足を止めてもらう
- 手順やルールを、同じ品質で繰り返す
- 広告やYouTubeで、継続的に見つけてもらう
同じカメラでも、場面が違えば成功の定義が変わります。だからこそ、第2章の型が先なんです。
本稿の進め方
このあとは、次の順で書いていきます。
- 用途の型(6つ)
- 目的の絞り方
- 表現の選び方
- 発注前の準備と制作の流れ
- 費用の構造と発注先の考え方
- 納品後の活用とチェックリスト
2.目的別・企業動画の6つの型
結論
最初に選ぶのは会社名ではなく、用途の型です。
上位の制作会社サイトは、メニューが細かく分かれていますよね。発注側がいちばん最初にやるべきなのは、そのメニューを全部読むことではありません。自社のいまの課題が、どの型に近いかを決めることなんです。
早見表
| 型 | 主な目的 | よく使う場所 | 最後に見る数字の例 |
|---|---|---|---|
| 会社・事業紹介 | 理解・信頼 | サイト、営業、説明会 | 滞在時間、商談での言及 |
| 採用 | 応募・入社後のギャップを減らす | 採用LP、説明会、SNS | 応募数、「動画を見た」率 |
| 展示会・イベント | ブースでの理解・記憶 | ブース内モニター | 名刺交換、商談化 |
| デジタルサイネージ | 目に入る・何度も見てもらう | 店頭、受付、交通広告 | 来店、問い合わせ |
| 研修・マニュアル | 手順の標準化 | 社内LMS、現場 | 研修時間、ミス率 |
| 広告・YouTube | 知ってもらう〜問い合わせ | 広告、チャンネル | 再生、クリック、問い合わせ |
番号は付けません。並列の選択肢だからです。
型の選び方:いまの課題から逆算する
「今年の展示会で説明が追いつかない」なら型3です。「採用の辞退理由がイメージギャップ」なら型2ですし、「受付で事業内容を毎回説明している」なら型1か型4、といった具合ですね。
課題が複数あるときは、損失が大きい順に1つだけ選んでください。全部を1本にすると、どれも中途半端になりやすいかもしれません。
専用の深掘り(展示会、サイネージ、採用など)は今後の記事で扱う予定です。本稿では入り口として、型の見分けまでを担います。
型1:会社・事業紹介
「何の会社か」「誰のどんな課題を解くか」を短く伝える動画です。

サイトのトップ、会社概要、初回商談の前渡しによく置きますよね。入れ込みすぎると、採用も商品も歴史も全部入りの「全部乗せランチ」になりがちです。事業の一言と、顧客の変化に絞ると伝わりやすくなります。
型2:採用
現場の雰囲気、社員の声、仕事の1日などを伝えて、応募前の期待値をそろえます。

きれいなオフィスだけを映すと、入社後のギャップが生まれやすいんです。採用は「盛る」より「揃える」が、成果に近づきますよ。
採用動画の効果や種類、選考の段階ごとの置き場所は、採用動画の効果と作り方で詳しく解説しています。
型3:展示会・イベント
ブースでループ再生する短い映像、製品デモ、来場者向けの導入動画などがあります。

騒音の多い会場では、音なしでも意味が通る字幕と図が効きます。長い会社紹介を流すより、30〜90秒で「何が新しいか」を示す方が、足を止めてもらいやすいのではないでしょうか。
展示会のほか、商品ページやSNSで使う商品紹介動画の作り方と、自分で作るかプロに頼むかの目安は、商品紹介動画の作り方にまとめています。
型4:デジタルサイネージ
受付、店頭、交通広告など、立ち止まる時間が短い場所向けです。

メッセージは1つにして、文字は大きくしてください。細かい説明はQRや手元の資料に回しましょう。展示会動画と似ていますが、何度も繰り返し見られる場所向けに設計する点が違います。
型5:研修・マニュアル
手順の標準化、安全教育、入社後の研修などに使います。

美しさより、再現できることが価値なんです。章立て、章ごとの尺、更新しやすい構成(差し替え可能なテロップ)を先に決めると、作り直しが減りますよ。
研修動画の種類や、内製と外注の分け方、1本の長さの目安は、研修動画の作り方でまとめています。
用途別記事への案内(これから増える関連記事)
本記事は入り口です。次のような専用テーマは、公開でき次第こちらからつないでいきます。
- 展示会動画制作の尺・音なし設計・ブース配置
- デジタルサイネージ動画制作の視認距離とメッセージ数
- 会社紹介動画の構成パターン
- 採用動画のインタビュー設計
型6:広告・YouTube向け
認知のための短尺広告、検索意図に答える解説、事例インタビューなどがあります。

ここは「1本で終わり」ではなく、続けて出すことと、見た人を次の行動(資料請求や相談など)へ案内することが大事になりやすいんです。チャンネル全体の設計は → 企業YouTubeの基本 、外注先のタイプ分けは → YouTube動画制作会社の選び方 を参照してください。
3.最初の1本は目的を1つに絞る
結論
最初の1本(または最初の半年)は、目的を1つに絞りましょう。測る数字も1つにしておくと、判断しやすいんです。
「採用もブランディングも問い合わせも」は気持ちとしては分かりますよね。ただ、尺も出演者も撮影場所も、目的で変わります。
目的を決める3つの質問
- この動画を見た人に、次に何をしてほしいか(応募、資料請求、ブース来訪、手順の実施など)
- その行動は、どこで起きるか(採用LP、展示会、社内ポータル、YouTube概要欄など)
- 成功したと言える数字は何か(応募数、滞在、名刺、問い合わせなど)
3つ答えられないうちは、見積もりを取る段階ではありません。
「全部盛り」を避ける短いルール
- 1本のメインメッセージは1つ
- サブ情報はテロップか、別動画か、資料へ
- 「社長あいさつ+沿革+全事業+全拠点」は、だいたい長編になる
ZiiiRA
……と言いつつ、社内の承認の場では「ついでにこれも」が増えやすいので、筆者も耳が痛いのですが。
決める役を1人置くと、議論が早く終わりますよ。
4.表現の選び方:実写・アニメ・インタビュー
結論
表現は好みより、伝える相手と更新頻度で選んでください。
比較の目安
| 表現 | 向くこと | 向きにくいこと |
|---|---|---|
| 実写 | 現場・人・空気感 | 頻繁な内容更新、抽象的な仕組み説明だけ |
| アニメ/モーショングラフィックス | 仕組み、概念、個人情報に配慮した説明 | 「人の温度」を強く出したい採用の主軸 |
| インタビュー | 顧客の声、社員の本音、専門家の解説 | 要点が定まっていない状態での長回し |
| 画面収録+解説 | ソフト操作、手順 | ブランドの世界観を主に出したい場合 |
同じ「会社紹介」でも、製造業の工場設備を見せるなら実写、SaaSの概念を説明するならモーショングラフィックス、という具合に分かれます。
サービスの仕組みや操作の手順を伝える動画の組み立て方は、説明動画の作り方で、構成テンプレと台本の書き方まで紹介しています。
よくあるつまずき
- 実写にこだわり、出演調整で半年止まる
- アニメにしたが、毎回フル作り直しで更新できない
- インタビューを撮ったが、質問設計がなく「感想」で終わる
先に「誰に何を残すか」を決めて、そのあとに表現を選んでください。順番が逆だと、見積もりだけが増えてしまいますよ。
インタビューで撮る場合の質問の組み立て方や、話してもらう人の選び方、撮影と編集のコツは、インタビュー動画の作り方で詳しく紹介しています。
5.発注前に社内で決めておくこと
結論
問い合わせの前に、目的・相手・置き場所・素材・「誰が最終OKを出すか」の5点を揃えましょう。
制作会社との初回打ち合わせが短いのに深くなる会社は、ここで差がついているんです。
発注前チェック(社内用)
- 目的は1つか(第3章)
- 主な視聴者は誰か(社内/採用候補/既存顧客/新規など)
- 公開・上映する場所はどこか(URL、会場、媒体)
- 希望の尺と納期の「使いたい日」があるか
- ロゴ、写真、既存映像、出演候補の有無
- 社内で最終OKを出す人と、修正の最終確認者は誰か
- 競合やNG表現(言ってはいけないこと)はあるか
- 納品形式(横/縦、字幕ありなし、データの受け渡し)
「予算感」も聞かれますが、本稿では具体金額は書きません。代わりに第7章で、見積もりの項目の見え方を整理しますね。
上司に通しやすい説明の型
上長向けには、次の4行があると十分なことが多いです。
- 目的(1つ)と、最後に見る数字(1つ)
- 主な視聴者と、公開・上映の場所
- なぜ今か(展示会日、採用ピーク、サイト刷新など)
- どこまで頼むか(企画から/撮影編集のみ)と、社内で持つ役割
金額の比較表だけを先に出すと、「で、何のための動画?」に戻りがちですよね。順番は、目的→範囲→見積もり、にしてください。
素材があると何が変わるか
既存の写真、図、製品カット、過去イベント映像があると、撮影日数やイラストの新規作成が減ることがあります。
逆に、何もない状態で「全部お任せ」だと、企画の往復が増えるんです。悪くはないのですが、スケジュールは長めに見ておく必要がありますよ。
発注前に決めることを、シートに書き出したい方へ
第5章のチェックを埋めていくと、見積もりを頼む前に決めておきたいことが見えてきますよね。無料資料「動画制作 発注前チェックリスト」(全27ページ)では、発注前に何を決めて何を確かめるかを、順番にまとめています。
- 決めた条件を書き込んで、そのまま依頼先に渡せる要件シートがついています
- 届いた見積もりを同じ条件で並べられる比較シートも使えます
- 確かめておきたい24項目を、上から答えていけるチェックリストも入っています
6.制作の流れ:問い合わせから納品まで
結論
流れは共通です。実写とアニメで、中盤の工程が分かれます。
一般的な流れは次のとおりです。
- 問い合わせ・ヒアリング
- 企画・構成(文章で流れを書いた案)
- 見積もり・発注
- 詳細企画(画面のイメージや台本)
- 撮影または素材制作
- 編集・音入れ
- 完成前のチェック・修正・納品
実写のときに増えること
撮影場所の下見、出演者の日程調整、撮影当日の進行、音声トラブルの回避などがあります。撮影のあとで撮り直すのは大変なので、どんな流れの動画にするかを、撮影前にしっかりすり合わせておくのが大事なんです。

アニメのときに増えること
キャラや図のタッチ(見た目の感じ)の確認や、「どの順番で画面が切り替わるか」の確認が増えます。撮影がない分、確認のポイントは「画面の設計」に寄ります。
工程別・発注側の主な役割
| 工程 | 発注側がやること | 制作側がやること |
|---|---|---|
| ヒアリング | 目的・数字・NGを共有 | 論点の整理、追加質問 |
| 企画 | 方針のOKを出す | 構成案(文章で流れを書いたもの) |
| 撮影/素材 | 出演・会場・許諾 | 撮影または素材制作 |
| 編集 | 完成前チェックへの指示 | 編集・音・字幕 |
| 納品 | 公開・社内展開 | データの引き渡し |
役割が曖昧なまま進むと、完成前のチェックで「思っていたのと違う」が増えます。表の左列を社内で先に決めておくと安心ですよ。
発注側が止まると全体が止まる場所
- 目的の再定義(途中で「採用も入れよう」が増える)
- 出演者の日程
- 法務・広報の表現チェック
- 完成前チェックのフィードバックが「感想」だけで、直し箇所が不明
フィードバックは「00:12のテロップをA案に」「主張を1文に減らす」など、時刻と指示があると早いです。
スケジュールの考え方(目安の置き方)
期間の具体日数は案件で大きく変わるため、数字の約束はしません。代わりに、遅延しやすいポイントだけ先に共有しますね。
- 企画合意が遅い(目的が途中で増える)
- 出演・会場の確保
- 法務・広報の表現確認
- 完成前チェックの意見がバラバラに来る
「使いたい日」から逆算して、確認にかかる日数ぶんの余裕を残しましょう。詰め込みすぎた日程は、品質より先に関係者が疲れてしまいます。
7.費用は「何にかかるか」で考える
結論
金額の一覧より先に、見積もりの項目構造を読んでください。
ネット上には相場表が多いですが、本稿では具体金額を書きません。条件(尺、撮影日数、演出、修正回数、権利)で幅が大きいからです。
それでも金額の目安から知りたい方は、作り込みの段階ごとの幅と見積もりの比べ方を動画制作の費用相場にまとめました。
費用が発生しやすい場所
| 項目 | 中身の例 | 見積もりで確認すること |
|---|---|---|
| 企画・構成 | ヒアリング、構成、台本 | 何回まで企画変更が含まれるか |
| 撮影 | 機材、スタッフ、スタジオ、移動 | 日数、ロケ数、天候予備 |
| 出演・キャスト | 社員、モデル、ナレーター | 権利の範囲、追加出演 |
| 編集 | カット、テロップ、色、字幕 | 修正回数、言語数 |
| 音 | BGM、SE、MA | ライセンスの範囲 |
| 管理 | 進行、完成前チェック、納品データ | 納品形式、保管期間 |
安く見えた見積もりに、企画も字幕も入っていなかった、なんてこともよくありますよね。
修正回数と「感想フィードバック」の扱い
見積もりに「修正2回まで」とあっても、中身が「色味の微調整」なのか「構成の作り直し」なのかで負荷が違います。
合意しておきたいのは次です。
- 構成(メッセージの順序)の変更は、どの工程まで無償か
- テロップ・色・カットの微修正は何回か
- 追加撮影が必要になった場合の扱い
発注側も、1回目のチェックでは「大きな方向」、2回目で「細部」と分けると、修正回数を使い切りにくくなりますよ。
金額差が出るときに聞く質問
- この金額に含まれる修正は何回までか
- 撮影が1日延びた場合はどうなるか
- 著作権・別の用途への使い回し(広告、海外、サイネージ)の範囲はどこまでか
- 素材の所有者は誰か(撮影の元データ、編集のプロジェクトファイル)
YouTube向けの外注比較では、タイプ分類と質問リストを別記事にまとめています。継続運用の見積もりを比べるなら、→ YouTube動画制作会社の選び方 をどうぞ。
8.発注先の考え方:制作会社・フリーランス・内製
結論
任せる範囲(企画までか、撮影編集だけか)で先に分けましょう。
会社名の一覧を覚える必要はありません。次の切り口で足ります。
3つの分け方
| 分け方 | 向く状況 |
|---|---|
| 撮影編集中心 | 構成と台本が社内で固まっている |
| 企画から制作 | 何を作るべきかから相談したい |
| 活用・運用まで | YouTubeや広告の改善まで続けたい |
単発の会社紹介や展示会動画なら、前の2つで足りることが多いです。チャンネルを資産にするなら、3つ目の視点が必要になりますね。
ショート/縦型との関係
縦型は、サイネージ、SNS広告、ショートで増えています。横型の会社紹介をそのまま縦に潰すと、顔や字幕が欠けることが多いんです。
最初から「横用と縦用でメッセージを分ける」か、「縦用は別尺で切り出す」かを決めてください。撮影時に余白(頭上・左右)を残しておくと、あとからの切り出しが楽ですよ。
内製との切り分け
- 判断(目的、最終確認、社内調整)は自社
- 手を動かす作業(撮影、編集、字幕)は外注しやすい
- 更新が多い研修動画は、社内で直しやすい作り(あとからテロップなどを差し替えやすい構成)にした方がうまくいくことがあります
「全部外注」でも進められます。ただし、目的を決める人まで外に出すと、納品物は増えても成果の判断がぼやけてしまうんです。
9.納品後の活用:作りっぱなしにしない
結論
動画は納品がゴールではありません。置き場所と次の行動で、初めて働くんです。

置き場所の例
- ウェブサイト(会社概要、サービス、採用)
- 営業資料・提案の前渡し
- 展示会ブース、受付サイネージ
- 社内ポータル、研修LMS
- YouTube/SNS(継続が前提の場合)
同じ実写素材でも、展示会用の短尺と、サイト用の中尺、採用用のインタビュー抜粋に分けられることがあります。最初から「あとで別の用途にも使う」つもりで撮ると、1回の撮影の効き目が増えますよ。
1回の撮影を、どの置き場所向けにどう切り分けるかは、動画マーケティングとはで図にして解説しています。
YouTubeにつなぐときの注意
社内向けに作った長い挨拶映像を、そのままチャンネルに上げても、検索意図には合いにくいです。
企業の動画で成果が出た例を見ると、映像のきれいさより、見たあとの案内(サイト・面接・展示会・資料など)が効いていることが多いんです。
たとえば株式会社ディンプルは、採用動画を採用サイトに載せ、一次面接の前後では短い版、最終面接前には長い版を見てもらう流れを作ったと紹介しています。公開インタビューでは、入社者アンケートで「動画が入社の後押しになった」との回答や、採用単価を約70%削減したといった数字も出ています(関係者の自己申告。出典は記事末)。
株式会社サカワは、製品デモのYouTube動画を展示会と組み合わせ、会場のブースとオンライン配信を同時に回す使い方を公開しています。支援実績のページでは、リード獲得296件、YouTube動画の総視聴526回といった数字が紹介されています(自己申告。出典は記事末)。製品紹介のチャンネルも、いま公開されていますよ。
太平洋エンジニアリング株式会社は、専門的な仕事内容を伝えるため、採用サイトと会社説明の動画をセットで公開しています。お客様の声では、面接の冒頭で動画を流す使い方や、サイト経由の応募が増えたといった話が紹介されています(同社の自己申告。出典は記事末)。会社説明動画は、YouTubeでも見られますよ。
これらは「きれいな映像」だけの話ではなく、目的と、見たあとの案内の話なんです。YouTube運用寄りの型の読み方は → 企業YouTubeの成功事例 にまとめています。
数字の見方(単発動画でも追えるもの)
チャンネル分析ほど複雑でなくて構いません。単発でも、次は追えます。
- サイト埋め込みの再生数・平均視聴
- 採用LPの応募うち「動画視聴」経由
- 展示会後のアンケートで「動画がきっかけ」
- 営業が送ったリンクの開封・視聴
完璧な計測より、1つだけ見る方が続きやすいですよ。
活用設計の最小セット
- 公開URL(または上映場所)を決める
- 見たあとの次の行動を1つ置く(応募、資料、来訪、社内テストなど)
- 公開後2週間〜1か月で、数字を1回見る
- 足りない情報は、別の短尺や記事で足す(無理に1本を膨らませない)
事例から借りるのは「見たあとの案内」であって「演出」ではない
きれいなカメラワークを真似るより、次の行動が設計されているかを見てください。
ディンプル、サカワ、太平洋エンジニアリングに共通していたのは、動画の外(サイト、面接、展示会、資料)まで手が伸びていたことです。単発の企業動画でも、同じ発想は使えますよ。
- 会社紹介の末尾に資料請求を置く
- 採用動画の概要やLPにエントリーを置く
- 展示会動画のQRから製品資料へ送る
演出の上手い下手より、次の一歩が明確かどうかです。ここが作りっぱなしとの分岐点なんです。
10.よくある失敗とその防ぎ方
結論
失敗の多くは制作技術より、目的・確認・活用の設計不足です。
失敗1:目的が会議のたびに増える
対策:第3章の3問を1枚に書いて、最終OKを出す人のサイン(またはチャットの合意)を残しましょう。
失敗2:完成前のチェックで「なんか違う」が続く
対策:感想ではなく、時刻と指示です。比較用に「A/Bのどちら」を渡してください。
失敗3:納品後、社内の誰もリンクを知らない
対策:公開URLと担当を、納品日に社内周知しましょう。営業のトークスクリプトに1行足すのもおすすめです。
失敗4:権利範囲を確認せず転用する
対策:サイネージや広告への転用は、契約前に希望を書いてください(第7章)。
失敗5:1本目でチャンネル運用まで抱え込む
対策:単発と継続を分けましょう。継続が必要なら、企業YouTubeの設計を別タスクにしてください。
11.発注前チェックリスト(印刷用)
結論
次のリストが埋まれば、問い合わせしてよい状態です。
A. 目的と相手
- 目的は1つに絞った
- 主な視聴者を1文で書ける
- 成功の数字を1つ決めた
- 公開・上映の場所が決まった
B. 中身
- メインメッセージは1つ
- 入れない情報(NG)を書いた
- 希望尺と「使いたい日」がある
- 表現の希望(実写/アニメ等)と、それが希望である理由がある
C. 体制と権利
- 社内で最終OKを出す人・確認者がいる
- 出演候補の調整窓口がいる
- 既存素材(写真・映像など)の有無を洗い出した
- 別の用途への使い回し(広告、海外、サイネージ等)の希望を書いた
D. 見積もり比較
- 同じ条件(尺・撮影日数・修正回数)で比べる
- 含まれない作業を確認した
- 著作権とデータの所有者を確認する質問を用意した
このリストが半分以下なら、制作会社に聞く前に、第3章と第5章に戻った方が早いです。失敗パターンは第10章も参照してくださいね。
制作会社そのものを比べる物差しや、相見積もりで同じ条件をそろえる進め方は、動画制作会社の選び方で詳しく整理しています。
12.企業の動画制作でよくある質問
結論
迷いやすい6問に、結論から答えていきます。
会社紹介と採用動画は分けた方がいい?
分けたほうがよいことが多いです。
会社紹介で知りたいのは「何の会社か」、採用で知りたいのは「働くとどうか」で、混ぜるとどちらも浅くなりやすいんですよね。
会社紹介動画に入れる内容や構成の型、30秒・1分・3〜5分の長さの使い分けは、会社紹介動画の作り方で詳しくまとめています。
1本にまとめる場合も、あとで切り出せるよう取材は分けて撮るのがおすすめですよ。
展示会動画の尺はどのくらいがよいか?
会場と置き方によります。ブースのループなら短く、商談テーブルで見せるなら少し長く、というのが基本の考え方です。
音が聞き取りにくい場所では、字幕ありで意味が通るように設計してくださいね。
デジタルサイネージはテレビCM用の素材を流用できる?
画面比率や視認距離が違うことが多いです。流用できる部分と、サイネージ用に組み直す部分を分けて見積もると安全ですよ。
内製と外注、どちらが得か?
目的と更新頻度で変わります。
単発で高品質が必要なら外注、内容を頻繁に差し替えるなら社内で直しやすい作りにするのが目安です。
くわしい判断基準は第8章をご覧ください。
動画制作の実績は、どう見ればよいか?
同じ目的の実績があるか、公開後の使われ方を説明できるかを見てください。
自社と業種が違っても、目的が同じなら参考になりますよ。
見るときの質問例は次のとおりです。
- この動画の目的は何だったか
- どこで使われたか(サイト、展示会、広告など)
- 公開後に何を改善したか
ZiiiRAが制作・活用支援で見ていること
ZiiiRAでは、単発の企業動画でも、YouTubeの継続運用でも、最初に揃えるのは同じです。目的、視聴者、次の行動の3つですね。
映像のテイストは、そのあとに決まります。無理にチャンネル化を勧めないこともあり、展示会や研修など単発で十分な案件では、その旨を先に伝えますね。
「動画を作ること」自体が目的化していないか。ここを一緒に確認するところから入ることが多いんです。
YouTubeも同時に始めた方がいいか?
目的によります。
単発の展示会や研修なら、チャンネルは必ずしも要りません。
継続的な問い合わせや専門家としての信頼が目的なら、企業YouTubeの設計も一緒に考えてみてくださいね。
まとめ:企業の動画制作は「型を選んでから」動く
結論
用途の型を選び、目的を1つに絞り、置き場所まで決めてから発注しましょう。
- 企業の動画制作は、きれいさより目的と用途の型が先
- 6つの型(紹介・採用・展示会・サイネージ・研修・広告/YouTube)から、いまの1本を選ぶ
- 費用は金額表より、項目と含まれないものを読む
- 納品後の置き場所と次の行動がないと、動画は働きにくい
次の1アクション
第11章のチェックリストのA(目的と相手)だけ、今日中に埋めてみてください。
空欄が多いなら、見積もり依頼はそのあとでも遅くありませんよ。
無料資料:企業YouTubeが伸びる仕組み(全48ページ)
動画をYouTubeや問い合わせにつなげたい方へ、お渡ししています。
- 視聴者の疑問から企画を考える方法
- 役割の違う「最初の3本」のつなげ方
- 公開後24時間・72時間・7日・30日の数字から、直す場所を決める方法
単発の制作から活用まで一度整理したい方は、無料相談もどうぞ。ZiiiRAは企業・経営者・専門家のビジネスYouTubeを、戦略設計から制作・運用まで支援しています(支援チャンネル80+ほか。※成果は案件・期間・市場環境によって異なります)。
支援内容はサービス紹介にまとめています。無理な営業や、根拠のない約束はしません。お話を伺い、難しいと判断した場合も正直にお伝えします。
運営会社:ZiiiRA
企業・経営者・専門家のビジネスYouTubeを、戦略設計から企画・制作、運用・改善まで支援しています。支援チャンネル数80以上、累計制作本数3,000本以上(ロング・ショート合計。公式サイト掲載の実績)。※成果は、案件・期間・市場環境によって異なります。
出典
- リクライブ「エージェント依存から脱却。採用単価70%削減を実現した、ディンプルの採用動画戦略」 https://reclive.jp/thank-you-reclive/dimple/
- 株式会社ディンプル 採用情報 https://www.dimples.co.jp/company/recruit/
- Bigbeat 支援実績「リアル展示×YouTubeのハイブリッド出展で過去最高のリード数獲得」(株式会社サカワ) https://www.bigbeat.co.jp/work/detail/0000000022
- サカワ公式ブログ「#19 …展示会にシフトして成功した4つの施策」 https://www.sakawa.net/blog/202305/6722
- サカワチャンネル(公式YouTube) https://www.youtube.com/@sakawa_official
- チェリービー「【応募数3倍&即戦力採用】…」(太平洋エンジニアリング様) https://cherrybee.tv/voice/taiheiyo-eng-voice2507/
- 太平洋エンジニアリング株式会社 採用サイト https://recruit.taiheiyo-eng.co.jp/
- YouTube「太平洋エンジニアリング株式会社 会社説明」 https://www.youtube.com/watch?v=oUvLnkDJD4w
- ZiiiRA 公式サイト(支援実績) https://ziiira.com/
※実例の数字は各社の公表・発言ベース(自己申告。第三者検証なし)。2026年10月16日時点の公開ページの内容です。
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※2026年10月時点の情報です。


