YouTubeマーケティングとは、目的から商談までを1本の線で設計し、動画をその線の上に置くことです。
よくある声
「YouTubeマーケティング=動画をたくさん出して、登録者を増やすこと」。そう捉えている方は多いはずです。
でも、BtoBではそれだけだと成果にならない。
線の中身は5つ。目的、手法、KPI、導線、体制。
どれか1つが抜けると、再生は回っても問い合わせが来ない状態になります。
動画は出している。数字も一応見ている。なのに、会議で「で、売上には?」と聞かれると言葉に詰まる。……心当たりはないでしょうか。
この記事では、BtoBの視点で、YouTubeマーケティングを設計書の形に落とし込みます。
用語の説明は最小限にして、「自社なら何から、どの順で、誰がやるか」まで持ち帰れるようにしました。
先に答え
BtoBでYouTubeマーケティングを始めるなら、まず目的を1つに決めて、検索で見つかる動画を土台にするのが基本です。広告・ショート・ライブは、役割を決めてから足していきます。成果は再生数ではなく、問い合わせや商談につながったかで判断しましょう。
この記事のポイント
- YouTubeマーケティングの「広告」と「資産」2つの使い方
- 目的に合わせた4つの手法(SEO動画/広告/ショート/ライブ)の選び方
- 再生数から商談までを分解するKPIツリーの作り方
- 内製と外注の境界線、最初の90日の週単位プラン
- 社内で予算を通すための説明の組み立て方
メモ
実例3社の数字は、各社が公開している情報(自己申告)をもとにしています。それ以外のパターン・体制例・失敗例は、分かりやすくするための例示です。
目次
1.YouTubeマーケティングとは?「広告枠」と「資産」2つの顔
結論
YouTubeには、お金で届ける「広告枠」と、積み上がる「自社メディア」の2つの顔があります。
YouTubeマーケティングの中身は、大きく2つ。
1つは広告。お金を払って、狙った人に動画を届ける使い方です。
もう1つは自社チャンネル。動画を積み上げ、検索やおすすめから見つけてもらう使い方。
| 広告として使う | 資産(自社チャンネル)として使う | |
|---|---|---|
| 届け方 | 出稿して表示させる | 検索・おすすめ・関連動画から見つけてもらう |
| 効き始め | 配信が始まればすぐ | 本数がたまってから |
| 止めたら | 表示も止まる | 過去の動画は残り、見られる可能性がある |
| 主にかかるもの | 広告費+広告用動画の制作 | 企画・制作・運用の継続コスト |
| 向く目的 | 短期の認知、イベント集客、リターゲティング | 指名検索、リード獲得、信頼づくり、採用 |
広告は蛇口。ひねれば出ますが、閉めれば止まります。
自社チャンネルは井戸に近い。掘るまで時間はかかる。でも、掘り当てれば水は出続けます。
BtoBで「資産」側が効きやすい理由
BtoBは、買う人の数が限られています。
しかも検討期間が長く、担当者が情報を集め、上司に説明し、比較してから決める。
この流れのどこかで「詳しく分かる動画」に出会うと、信頼の貯金ができます。
ここで効くのが、検索される悩みに答える動画。
検討中の担当者は、比較や手順をYouTubeでも調べることがあります。そのとき自社の動画が出てくるかどうか。
広告で一瞬見せるより、検討のたびに見つかる方が、BtoBの買い方には合っています。
メリットと注意点(向き・不向き)
他の施策と比べたときのメリットは、次の3つです。
- 検索で見つかり続ける:一度出した動画が、検討のたびに見つかる
- 複雑な商材を見せられる:文字では伝わりにくい使い方や考え方を、映像と声で伝えられる
- 営業でも使い回せる:商談の前後に送る資料として再利用できる
一方で、注意点も先に知っておきましょう。
- 成果まで時間がかかる:本数がたまるまで、数字は動きにくい
- 続ける手間がかかる:企画・撮影・編集を毎週回す体制が要る
- 測り方を決めないと評価できない:再生数だけでは、事業への効き目が分からない
注意点の多くは、この記事で扱う「目的」「KPIツリー」「体制」で手当てできます。
ポイント
短期で一気に届けたいなら広告、検討のたびに見つかりたいなら自社チャンネル。BtoBは後者を土台にし、広告は役割を決めて足すのが基本です。
YouTubeの外、たとえばサイトや営業メール、購入後のヘルプページまで含めて「どこに動画を置くか」を整理したい方は、動画マーケティングとはの記事も参考にしてください。
「4P」や「エンゲージメント」から入らない
教科書的な説明では、マーケティングの枠組みやエンゲージメントの話から入りがちです。
間違いではありません。ただ、現場で手が止まるのはそこではない。
止まるのは「で、来週何を撮るのか」「何の数字を上に報告するのか」という具体の部分です。
この記事では、そこから逆算して組み立てます。
なお、ZiiiRAはこれまで80以上のチャンネルを支援し、累計約15億回の再生(ロング・ショート合計)に関わってきました(※成果は案件・期間・市場環境によって異なります)。
その中で痛感するのは、伸びるチャンネルほど「動画の前」の設計に時間を使っていることです。
撮影より先に、会議室でホワイトボードを埋めている。地味な絵面ですが、ここが勝負どころ。
2.最初に決める「目的」は1つだけ
結論
最初に決める目的は1つだけにしましょう。目的が決まれば、手法も見る数字も自然と絞れます。
設計の出発点は、目的を1つに決めること。
BtoBでよく置かれる目的は5つあります。
| 目的 | ゴール指標(最後に見る数字) | 主役になる手法 | 補助の手法 |
|---|---|---|---|
| リード獲得 | 資料請求、問い合わせ、ウェビナー申込 | SEO動画 | ライブ、広告 |
| 商談・営業支援 | 商談化率、成約までの期間 | SEO動画(事例・比較) | 限定公開動画 |
| 認知・指名 | 指名検索、サイト流入 | ショート、広告 | SEO動画 |
| 採用 | 応募数、面接での「動画を見た」率 | SEO動画(仕事紹介) | ショート、ライブ |
| 既存顧客の活用促進 | 継続率、サポート問い合わせの減少 | SEO動画(使い方) | ライブ |
ポイントは、最初の半年はゴール指標を1つに絞ることです。
目的を3つ掲げた企画書は、行き先を3つ入れたカーナビと同じ。たいてい同じ場所をぐるぐる回ります。
目的を決める3つの質問
迷ったら、次の3つに答えてみてください。
- 今いちばん足りないのは、リード・商談・認知・採用のどれか
- その数字を、今どこで測っているか(測れていないなら、まず測る仕組みから)
- 動画を見た人に、最後にしてほしい行動は何か
3つ目が言えると、企画がぶれにくくなる。
「見たら資料をダウンロードしてほしい」なら、動画の中身も資料とつながる内容になるはずです。
「認知」を目的にするときの注意
BtoBで「まずは認知から」と決めるケースは多いです。
でも、認知は測りにくい。半年後に「認知は上がったのか」を誰も証明できず、予算が切られる。よくある流れです。
注意
認知を目的にするなら、指名検索や自社サイトへの流入など、測れる代わりの数字を先に決めておきましょう。
ただし、目的は永遠に固定ではありません。
半年たってリードが安定したら、商談支援や採用に広げる。その順番で十分です。
3.4つの手法:SEO動画・広告・ショート・ライブの使い分け
結論
BtoBの土台は、検索で見つかるSEO動画です。広告・ショート・ライブは、役割を決めてから足していきましょう。
手法は4つあります。どれも有効ですが、得意な仕事が違う。
全部を同時に始めるより、土台を1つ決めて、足りないところを他で補う方が続きます。
| 手法 | 得意な仕事 | 苦手な仕事 | BtoBでの位置づけ |
|---|---|---|---|
| SEO動画(検索で見つかるロング動画) | 悩みを持つ人に見つけてもらう、信頼をためる | 短期で一気に届ける | 土台。最初に作る |
| 広告 | 狙った相手に、すぐ届ける | 止めた後に残ること | 加速装置。土台ができてから |
| ショート | 新しい人に知ってもらう | 中身を深く伝える | 入口。ロングへ送る |
| ライブ | 質疑応答、濃い接点づくり | 検索で見つかること | 関係を深める場 |
SEO動画:検索される悩みに答えるロング動画
BtoBの土台は、見込み客の検索に答えるロング動画。
「〇〇 やり方」「〇〇 比較」「〇〇 失敗」「〇〇 費用の考え方」。こうした言葉で探す人は、すでに課題を自覚しています。
だから、再生数が小さくても商談に近いことが多い。
企画のネタ元は、社内にある。
営業がよく受ける質問、サポートへの問い合わせ、商談で毎回する説明。ここを書き出すだけで、数十本分の企画になることも珍しくありません。
タイトルと冒頭は、社内用語ではなく、顧客が検索する言葉で書いてください。
広告:狙った相手に届ける加速装置
広告の強みは、届ける相手を選べること。
BtoBなら、たとえば自社サイトを訪れた人や、自社の動画を見た人に絞って、事例動画やウェビナー告知を出す使い方があります。
ただ、広告だけで始めると、止めた瞬間にほとんど何も残りません。
受け皿となる動画やLPが弱いまま広告費を入れても、穴の空いたバケツに水を注ぐことになる。
注意
広告の種類や配信条件は変わることがあるため、出稿前にはGoogle広告の公式ヘルプで最新の仕様を確認しましょう。
広告にかかる費用の内訳や、目的から月の予算を逆算する手順は、YouTube広告の費用で詳しく紹介しています。
ショート:入口を広げる短尺動画
ショートの役目は、まだ自社を知らない人との出会い。
ZiiiRAの支援先でも、1,000万再生以上のショートが複数生まれています(※成果は案件・期間・市場環境によって異なります)。
ただ、BtoBでは「ショートの再生数=見込み客の数」ではありません。
大事なのは、ショートで興味を持った人を、ロング動画やチャンネルへ送ること。
ロング動画の要点を切り出してショートにし、「続きは本編で」とつなぐ形が、手間も少なく始めやすいです。
ショート動画の制作を外に頼むときの費用の目安と頼み先の選び方は、ショート動画制作の相場と依頼先の選び方にまとめています。
ライブ:濃い接点をつくる場
ライブの強みは、視聴者とその場で話せること。
BtoBなら、質疑応答つきの勉強会や、ウェビナーの公開版として使えます。
コメントで出た質問は、そのまま次のSEO動画の企画になる。一石二鳥の場でもあります。
注意したいのは準備。
台本も質問の仕込みもないまま始めると、30分の沈黙を生中継することになります。
最初は月1回、テーマを1つに絞って始めるのが現実的です。
組み合わせの例(例示)
目的がリード獲得なら、次の順で組み立てます。
- SEO動画を週1本の土台にする
- その要点をショートに切り出す
- 月1回のライブで質問を集め、次の企画に回す
- 資料DLまでの導線が整ってから、サイト訪問者向けに広告を小さく試す
4つを横並びで始めるより、この「土台+役割分担」の形の方が、担当者の負担も見通しやすくなります。
同じ予算でも、組み合わせる順番で成果の出方は変わる。手法選びは、足し算より順番の問題です。
手法ごとの細かい集客テクニックは、→ YouTube集客の具体的な方法 で解説しています。
ショートを「入口」として使いたい方へ
ショートは、まだ自社を知らない人と出会うための入口です。ただ、ショートだけで終わると相談にはつながりにくいんですよね。無料資料「企業のYouTubeショート活用ガイド」(全26ページ)では、ショートの役割の決め方と、長い動画へつなぐ作り方をまとめています。
- ショートに任せる役割を、先に決められます
- 5つの型から企画を選び、次に見てほしい長い動画とセットにできます
- 長い動画と一緒に作る前提で、続けられる本数と体制を決められます
4.KPIツリー:再生数から商談までを分解する
結論
KPIツリーとは、再生から商談までの数字を、つながりが分かるように木の形で並べたものです。ツリーにすると、詰まっている段だけを直せるんです。
KPIを「登録者数・再生数・CTR・視聴維持率……」と一覧で並べる記事は多いです。
でも、一覧のままだと、どれが悪いと何が起きるのかが分からない。
毎月のレポートが再生数のグラフ1枚だと、会議は「先月より伸びましたね」の一言で終わってしまいます。
そこで使うのがKPIツリー。
ゴール指標を頂点に置き、そこに至る数字を段ごとに分解します。
5段のKPIツリー
| 段 | 見る数字 | 詰まったときに直す場所 |
|---|---|---|
| ① 表示 | インプレッション、クリック率(CTR) | 企画のキーワード、サムネイル、タイトル |
| ② 視聴 | 視聴維持率、総再生時間 | 冒頭の数十秒、構成、話す順番 |
| ③ 行動 | 概要欄・固定コメント・終了画面のクリック | 導線の位置、文言、特典の中身 |
| ④ リード | 資料DL、問い合わせ、ウェビナー申込 | LP、フォーム、資料の中身 |
| ⑤ 商談 | 商談化率、受注、成約までの期間 | 営業との連携、リード後のフォロー |
上の段ほど「動画の出来」、下の段ほど「事業への効き目」です。
ツリーにしておくと、「CTRは高いのに資料DLが少ない → 詰まりは③か④」と、直す場所がすぐ決まります。
実例:LANYのテコ入れをツリーで読む
使い方は、実例で見るとよく分かる。
メモ
- チャンネル:LANY「SEOおたく」(2020年開始、週1本)
- 何をした?:2025年にテコ入れ。サムネイルのレビュー工程を作り、概要欄の最初の3行と固定コメントに資料の導線を置いた。
- 成果(前年同期比):インプレッション約3.13倍、平均CTR 2.87%→4.55%、YouTube経由のリード約1.5倍、問い合わせ3.5倍、YouTube経由の問い合わせの商談転換率53.85%→75%。
- 出典:LANY くろぎ氏のnote
ZiiiRA
サムネのレビューは①表示の段、概要欄と固定コメントは③行動の段への打ち手です。
直した段がはっきりしていて、その下のリード・問い合わせ・商談転換まで数字がつながっている。ツリーで考えるとは、こういうことです。
再生数が小さくても、ツリーの下が太ければいい
LANYの例には、もう1つ大事な話があります。
再生771回の士業向け動画から、士業の問い合わせが継続して発生し、1か月以内の受注につながった例があるそうです。
再生数だけを見れば、目立たない動画です。でも、ツリーの下の段は太い。
狙った相手にだけ届けば、①②が小さくても④⑤が動くことはあります。
目的別に、どんな会社がどの数字で成果を出しているかは、→ 目的別の成功事例 にまとめています。
月次レポートは「段ごとに1行」で
レポートは、ツリーの5段を上から1行ずつ並べるだけで十分です。
各段に「先月との差」と「来月直すこと」を書く。それだけ。
グラフを何枚も貼るより、会議で決めることがはっきりします。
直す段が毎月1つ決まれば、改善は止まりません。
分析の道具は、まず公式の機能で足りる
ツール選びから入る必要はありません。
①表示と②視聴の数字は、YouTubeの管理画面(YouTube Studio)のアナリティクスで確認できます。
③〜⑤は、リンクに計測用のパラメータを付けて自社サイトのアクセス解析で追い、商談は営業の記録とつなげます。
道具を増やすより先に、どの段をどこで測るかを1枚に書き出しておく。それで十分に回ります。
アナリティクスで見る数字と、症状ごとの直し方の早見表は、YouTube分析のやり方にまとめています。
KPIの目標値はどう決める?
最初から「CTRは何%」と決める必要はありません。
業種もテーマも違うので、他社の数字をそのまま目標にしても意味が薄い。
最初の8〜12本を出して自社の基準値をつかみ、そこから伸ばす方が確実です。
ポイント
決めておくべきなのは数値より、どの段を誰が毎月見るかのほうです。
5.導線設計:動画の「次の一歩」を用意する
結論
導線とは、動画を見た人が迷わず次の一歩へ進めるように用意する道のことです。動画の中だけでなく、動画の外まで敷いておきましょう。
KPIツリーの③〜⑤をつなぐのが導線。
動画が良くても、次に進む道がなければ、視聴者はそのまま別の動画へ流れていきます。
導線を置く場所は5つ
| 場所 | 置くもの | ポイント |
|---|---|---|
| 動画の最後の一言 | 次の行動の案内 | 案内は1つだけ。複数並べない |
| 概要欄の最初の3行 | 資料・相談へのリンク | 開かなくても目に入りやすい冒頭に |
| 固定コメント | 同じリンク+一言の説明 | 動画の内容と資料のつながりを書く |
| 自社サイト・ブログ | 記事への動画埋め込み、動画から記事へのリンク | 相互につなぐ |
| 営業・メール | 商談前後に送る動画リンク | 営業が使える動画リストを用意 |
概要欄にリンクを10本並べるのは、駅の出口に案内板を10枚立てるのと同じです。結局、みんな迷う。
ポイント
目的に合わせて、メインの導線は1本に絞ってください。
実例:相互導線でWeb問い合わせの約2割がYouTube経由に(コムデック)
メモ
- チャンネル:コムデック「kintone芸人」
- 何をした?:3年目に、オウンドメディアとYouTubeの相互導線を強化。
- 成果:資料ダウンロードが目に見えて増加。Webからの問い合わせの20%前後が、YouTubeを見た人からになった。
- 出典:コムデックAIラボ
ZiiiRA
動画単体ではなく、サイトとつないだことで数字が動いた例。
YouTubeとブログを別々の部署が運営していると、この相互導線はなかなか生まれません。
実例:動画と同じ資料を特典にする(シミセー)
- チャンネル:シミセー「【公式】Setchan製造業ブログ」
- 何をした?:代表(中小企業診断士・元大手メーカーの調達バイヤー)が、取適法の改正点を解説する動画を公開。動画内で使った資料を、そのままホワイトペーパーとして配布した。
- 狙った相手:製造業の40〜50代の管理職、調達部門。
- 成果:公開2か月で30リード。上場企業を含む中堅〜大手企業からのダウンロードが多数。
- 出典:株式会社シミセー公式サイト
ZiiiRA
動画で見た資料が、手元に欲しくなる。この心理を導線にした設計です。
特典を新しく作らなくても、動画の資料を整えるだけで受け皿になります。
導線の「その先」も設計する
資料DLで止まると、リードは冷めます。
営業とは、事前に次の3つを決めておきましょう。
- ダウンロードした人に、誰が連絡するか
- いつ連絡するか
- どう話すか(どの動画を見た人かを踏まえる)
「YouTubeから来たリードは、動画を見て内容を理解している」前提で話すと、商談の進み方も変わります。
6.体制:内製と外注の境界線をどこに引くか
結論
目的を決めることと話すことは、社内でやるのが向いています。撮影や編集のように、作って磨く作業は外注しやすいんです。
YouTubeマーケティングが止まる原因は、企画や撮影より、体制にあることが少なくありません。
最初は担当者1人で始め、3か月後には手が回らなくなる。
「出演は社長、編集は若手が空き時間で」という体制は、たいてい3本目あたりで若手の空き時間が消えます。
作業ごとの内製・外注の目安
| 作業 | 内製向き | 外注向き | 判断のポイント |
|---|---|---|---|
| 目的・KPIの決定 | ◎ | 相談役として | 決めるのは必ず自社 |
| 企画・台本 | 業界知識が要る部分 | キーワード調査、構成の型づくり | 専門性は社内、型は外から |
| 出演 | ◎ | ― | 顔が見えるほど信頼は積もる |
| 撮影・編集 | 簡単なものは可 | ◎ | 本数を落とさないため |
| サムネイル・タイトル | ― | ◎ | ①表示の段を左右する |
| 導線・LP・資料 | 資料の中身 | LPやフォームの改善 | 営業との連携は社内で |
| 分析・改善 | 毎月の数字確認 | 改善案の提案 | どの段を直すかの判断 |
| 広告運用 | ― | ◎ | 土台ができてから |
要するに、自社にしかできないのは「目的を決める」「専門知識を話す」「営業とつなぐ」の3つ。
それ以外は、外に出しても成果が落ちにくい部分。むしろ、外に出した方が本数と品質は安定しやすい。
実例:週2本を外部チームで続ける(コムデック)
コムデックは、社内だけでは週2本の投稿が安定せず、外部チームを構築して週2本を継続しています。
出演した社員の知名度が上がり、メンバーシップ登録者から採用につながったことも公開しています(出典:上記のコムデックAIラボの記事)。
ZiiiRA
出演と専門性は社内、制作は外部。境界線の引き方として、分かりやすい例です。
外注するときに渡すべき3つ
外に出すときは、作業だけを渡しても成果につながりません。
最低限、次の3つは自社から渡してください。
- 目的とKPIツリー:何のための動画で、どの段の数字を動かしたいか
- 顧客の言葉:営業やサポートが実際に受けている質問、よく出る反論
- 導線の行き先:資料、LP、相談フォームと、その後の営業の動き
この3つがない発注は、行き先を告げずにタクシーに乗るようなもの。運転はうまくても、着く場所は運任せです。
逆に、ここが渡せていれば、外部チームは企画と改善に集中できる。
費用は「どこまで頼むか」で中身が変わる
| 進め方 | 自社でやること | 費用の主な中身 |
|---|---|---|
| 内製 | ほぼ全部 | 機材、担当者の人件費(時間) |
| 制作のみ外注 | 企画・出演・分析 | 撮影・編集・サムネイルの制作費(本数×単価) |
| 企画〜運用まで外注 | 出演・意思決定 | 戦略設計・企画・制作・分析改善の月額 |
| +広告 | 予算の決定 | 広告費+広告運用の手数料+広告用動画の制作 |
注意
具体的な金額は、本数・尺・撮影の有無で大きく変わります。見積もりは「1本いくら」だけでなく、「どのKPIの段まで責任を持つか」まで確認してください。
外注先は「作るまで」の会社と、「企画・運用・改善まで」見る会社に分かれます。
広告やタイアップまで含めて、どのタイプの会社に相談するかを目的から選びたい方は、YouTubeマーケティング会社の選び方で4つのタイプと見分け方を紹介しています。
会社を比べるときは → 制作会社の比較ポイント が参考になるはずです。
企画から振り返りまで運用ごと任せる場合の月額の目安と、自社に合う価格帯の見分け方は、YouTube運用代行の費用と選び方で解説しています。
7.最初の90日設計(12週を週単位で)
結論
最初の90日のゴールは、「勝ち筋の仮説」と「自社の基準になる数字」を手に入れることです。
ここまでの5要素を、最初の90日に落とし込みます。
90日は長いようで、社内稟議を2回まわすと残りは半分です。週単位で区切っておきましょう。
| 週 | やること | この週の成果物 |
|---|---|---|
| 1〜2週 | 目的を1つ決める/KPIツリーを作る/今の数字(問い合わせ・商談)を確認 | 1枚の設計書(目的・ゴール指標・ツリー) |
| 3〜4週 | 営業・サポートの質問を書き出す/検索される言葉に直す/企画を30本リスト化 | 3か月分の企画リスト |
| 3〜4週 | 受け皿を用意(資料・LP・フォーム)/営業とリード対応を決める | 導線の完成 |
| 5〜8週 | SEO動画を8〜12本公開/ロングからショートを切り出す | 測れる本数がそろう |
| 7〜8週 | ライブを1回試す(質疑応答型) | 次の企画ネタ |
| 9〜10週 | KPIツリーで振り返り/詰まった段を特定 | 直す場所のリスト |
| 11〜12週 | 伸びた企画を増やし、弱い企画をやめる/必要なら広告を小さく試す | 次の90日の計画 |
公開後の数字は「いつ見るか」も決める
1本ごとの確認タイミングは、公開後24時間・72時間・7日・30日がひとつの目安です。
早い段階では①表示と②視聴、時間がたってから③〜⑤を見る。
ポイント
公開翌日に問い合わせが来なくても、落ち込む必要はありません。BtoBの動画は、検討のタイミングで見つかるものです。
90日で「答え」は出ない前提で
90日で全部の答えが出るとは考えないでください。
コムデックが導線を強化して数字が動いたのは3年目。LANYのテコ入れも、2020年から積み上げた土台の上にあります。
90日は、方向が合っているかを確かめる期間です。
8.社内で予算を通すための説明の組み立て
結論
予算は再生数ではなく、「ツリーのどの段を、いつまでに動かすか」で説明すると通りやすくなります。
予算が通らない理由でよくあるのが、効果の説明があいまいなこと。

稟議書に「バズを狙います」と書くと、たいてい差し戻されます。
説明の順番は4つ
- 目的:今いちばん足りない数字(例:問い合わせ)と、その理由
- 仕組み:KPIツリーで「動画→クリック→資料DL→商談」のつながりを見せる
- 計画:90日で何本出し、何を測り、どこで判断するか
- 体制と費用の中身:社内がやること、外に出すこと、費用がかかる項目
数字の約束をするより、判断するタイミングと基準を約束する方が、決裁者は安心します。
「90日後にこの数字を見て、続けるか・直すか・やめるかを決めます」と言えれば十分です。
始める前のチェックリスト
- 1. 目的を1つ言える
- 2. ゴール指標を今も測っている(または測る仕組みがある)
- 3. KPIツリーの5段を、誰が毎月見るか決まっている
- 4. 営業・サポートの質問を30個書き出せる
- 5. 資料・LP・フォームなど、受け皿がある
- 6. リード獲得後の対応を営業と決めている
- 7. 出演できる人(経営者・専門家・社員)がいる
- 8. 半年間、本数を落とさない体制(内製または外注)がある
- 9. 企画を決める人が1人に決まっている
- 10. 90日後の判断基準を決めている
結果の見方
- 1〜3に「いいえ」がある → 動画より先に、目的とKPIの設計から。
- 4〜6に「いいえ」がある → 企画と導線の準備から。
- 7〜9に「いいえ」がある → 体制づくり(外注の検討を含む)から。
- 全部「はい」→ すぐに企画リストづくりに進めます。
資料
広告と自社チャンネルに、どう予算を分けるかまで説明したい方へ。 記事の最後で、ZiiiRAの無料資料「YouTube広告と運用代行、どちらに予算をかけるか」を紹介しています。
9.よくある質問
結論
BtoBで始める前によく出る5つの疑問に、短くお答えしますね。

YouTubeマーケティングは、BtoBでも効果がありますか?
効果は期待できます。
検討期間が長いBtoBは、検索で見つかる動画と相性がいいんです。
ただし、効果は再生数ではなく、問い合わせや商談で測ってください。
広告と自社チャンネル、どちらから始めるべきですか?
BtoBなら、多くの場合は自社チャンネルのSEO動画から始めるのがおすすめです。
広告は届ける力が強い反面、止めると何も残りにくいんですよね。
受け皿の動画とページができてから、広告を足していきましょう。
ショート動画だけでリードは取れますか?
ショート動画だけでは難しいことが多いです。
ショートで知ってもらい、長い動画で信頼してもらう組み合わせが基本になります。
何本くらい出せば効果が分かりますか?
業種と目的で変わりますが、目安は最初の90日で8〜12本です。
それだけ出すと、自社の基準になる数字が見えてきます。
1〜2本で判断するのは早すぎますよ。
社内に動画を作れる人がいません。
社内に作れる人がいなくても始められます。
撮影・編集・サムネイルは外注しやすく、社内に必要なのは目的を決める人と、専門知識を話せる人なんです。
ZiiiRAが支援現場で大事にしていること
ZiiiRAは、企業・経営者・専門家向けにビジネスYouTubeを支援しています。
進め方は、戦略設計から企画・制作、表現設計、運用・改善まで。この記事の「目的→手法→KPI→導線→体制」と同じ順番です。
支援で大事にしているのは、再生数だけを追わず、事業の成果から逆算すること。
どの段の数字を動かせば問い合わせや商談につながるのか。そこから企画を決めます。
もう1つは、無理な営業や、根拠のない約束はしないこと。
お話を伺い、難しいと判断した場合も正直にお伝えします。
10.まとめ:YouTubeマーケティングは「設計書」から始める
結論
目的から商談までの線を先に引くと、動画1本ごとの役割が決まります。

冒頭で、YouTubeマーケティングは「動画を出すこと」ではなく、目的から商談までの線を設計することだとお伝えしました。
動画はその線の上に置く部品です。線が引けていれば、1本ごとの役割もはっきりします。
- 目的は1つに絞り、その目的から手法(SEO動画・広告・ショート・ライブ)を選ぶ。
- KPIは一覧ではなくツリーでつなぎ、詰まった段だけを直す。
- 自社は「決める・話す・営業とつなぐ」、制作と改善は外の力も使い、90日で基準値をつかむ。
次の1アクション
まずは、営業担当に「お客様からよく聞かれる質問」を10個だけ聞いてみてください。
その10個が、SEO動画の最初の企画リストになり、目的とKPIを決める材料にもなります。

無料資料:YouTube広告と運用代行、どちらに予算をかけるか(全28ページ)
読者の疑問
「広告と自社チャンネル、どちらにいくら使うかを社内で説明したい」という方へ。
- 月額ではなく、「止めたら何が残るか」で比べられます
- 5つの物差しで、広告と運用代行のどちらから始めるか決められます
- 組み合わせ方と配分を決めて、予算案にまとめられます
1章の「広告枠と資産」と、8章の「予算を通す説明」を、そのまま予算案に落とし込むための資料です。
自社の目的やKPIツリーを一緒に整理したい方は、無料相談もご利用ください。ZiiiRAの支援内容はサービス紹介にまとめています。
無理な営業や、根拠のない約束はしません。お話を伺い、難しいと判断した場合も正直にお伝えします。
運営会社:ZiiiRA
企業・経営者・専門家のビジネスYouTubeを、戦略設計から企画・制作、運用・改善まで支援しています。支援チャンネル数80以上、累計制作本数3,000本以上(ロング・ショート合計)。※成果は、案件・期間・市場環境によって異なります。
出典
- くろぎ(株式会社LANY)「LANYがBtoBのYouTubeにテコ入れしてリード獲得数1.5倍&お問い合わせ数3.5倍に伸ばした振り返り」 https://note.com/kurogiworld/n/n25bd8abc7daf
- コムデックAIラボ「BtoB企業はYouTubeをやるべき!オウンドメディアとの連携強化で問い合わせの増大に成功した事例から戦略・運用のポイントを解説」 https://www.comdec.jp/comdeclab/dxart-02/
- 株式会社シミセー「製造業のYouTubeマーケティングの方法とは?2か月で30リード獲得した自社事例を大公開!」 https://shimisee.com/youtube-wp-dl/
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※2026年10月時点の情報です。


