NEWS / 2026.10.15

企業YouTubeの始め方|やる・やらないの判断から目的、費用の構造、内製と外注まで【判断チェックリスト付】

更新日:2026年10月16日|ZiiiRA編集部

企業YouTubeとは、会社や経営者が、採用・問い合わせ・信頼づくりといった事業の成果のために運営するYouTubeチャンネルのこと。

「企業YouTubeは、とにかく始めた会社が勝つ」。そんな空気を感じている方も多いはずです。

でも、始める前に決めることがある。

目的が採用なら応募数。リード獲得なら問い合わせ。専門家の信頼づくりなら、指名での相談。

目的が決まれば、出る人も、企画も、費用のかけ方も、おのずと絞られていく。

ところが、検索して出てくるのは有名企業の事例一覧とアカウントの作り方が中心です。

社長に「うちもやろう」と言われて調べ始めたものの、会議で何を提案すればいいのか分からない。……心当たりはないでしょうか。

この記事では、やるかどうかの判断基準から、目的の決め方、チャンネルの型、始め方の7ステップ、費用の構造、内製と外注の分け方までを順番に整理します。

社内の会議資料にそのまま使える表やチェックリストも入れました。

先に答え

企業YouTubeを始めるときは、アカウントを作る前に「やるかどうか」と「目的を1つ」を決めます。そのあと視聴者・チャンネルの型・企画を決めて、アカウント作成は5番目に回すのが失敗しにくい順番です。費用は金額の相場より先に、どこまで自社でやるかで考えてみてください。

この記事のポイント

  • 企業YouTubeを「やるべき会社」「今はやらない方がいい会社」の見分け方
  • 目的の決め方と、メリット・デメリット・注意点
  • 公式チャンネル型と経営者・専門家型の違い
  • 始め方の7ステップと、費用がかかる場所の構造
  • 内製と外注の分け方、よくある失敗とその防ぎ方

こんな人向け

「会社でYouTubeを始めるべきか」を判断する立場の経営者、マーケ責任者、広報、事業部長に向けて書いています。

個人のYouTuberとして伸ばす方法を知りたい方には、別の情報源の方が役に立つはずです。

メモ

実例として紹介する3社の数字は、各社が公開している情報(自己申告)をもとにしています。それ以外の会社のパターンや失敗例は、分かりやすくするための例示です。

1.企業YouTubeとは? 広告やほかのSNSとの違い

結論

企業YouTubeは、検索され続ける営業資料のようなものです。流したら終わりの広告とは、時間の使い方が違います。

企業YouTubeとは、会社や経営者が事業の成果のためにYouTubeチャンネルを運営することです。

商品紹介、ノウハウ解説、採用、社長の発信など、形はさまざま。共通点は、「見た人に、会社として次の行動をとってほしい」という目的があること。

広告・ほかのSNSとの違い

違いは、大きく3つあります。

広告(動画広告・リスティング) ほかのSNS(短尺中心) 企業YouTube
届き方 お金を払った分だけ表示 フォロワーとおすすめ表示 検索・おすすめ・関連動画から
寿命 出稿を止めると止まる 流れが速く、数日で埋もれやすい 検索される悩みに答えた動画は長く見られる
伝えられる量 数秒〜数十秒 短い 数分〜数十分の深い説明も可
向いている役割 今すぐ客に当てる 認知・接点づくり 比較検討中の人の疑問に答え、信頼をつくる

いちばん大きいのは、寿命の違いです。

広告は蛇口のようなもので、お金を止めれば流入も止まります。

企業YouTubeは、検索される悩みに答える動画を積み上げるほど、止めても見られ続ける資産になりやすい。

YouTubeだけでなく、サイトや営業メール、展示会まで含めて動画をどう使い分けるかは、動画マーケティングの全体像で整理しています。

企業YouTubeの「個人YouTuberとの違い」

個人のYouTuberは、再生数や登録者そのものが収益に直結しやすい世界。

一方で企業YouTubeは、再生数はあくまで途中の数字。最後に見るのは、問い合わせや応募といった事業の数字です。

ここを混同すると、BtoBの会社がエンタメ企画に手を出し、再生は回るのに商談は増えない、という状態になりがちです。

たとえるなら、個人YouTuberは路上ライブ、企業YouTubeは展示会のブース。通りすがりの拍手より、名刺交換の数が大事です。

2.そもそも、やるべき? 「今はやらない方がいい」会社もある

結論

YouTubeは万能ではないので、今はやらないほうがいい会社もあります。向く条件がそろっていないときは、先に土台を整えましょう。

企業YouTubeを解説する記事の多くは、「やる前提」で書かれています。

今は企業YouTubeを「やらない」方がいい5つのサイン。目的が「流行っているから」「競合がやっているから」だけ/3か月で成果が出なければやめると決まっている/動画を見た人の受け皿がない/出演・企画の判断をする人がいない/社内の確認に毎回数週間かかる。最後の2つは特に見落とされがち。
判断チェックリスト(8項目)の結果の見方。「はい」が7〜8個なら始める準備はおおむね整っている、4〜6個なら「いいえ」の項目を最初の30日で埋める、0〜3個ならまずは目的と受け皿づくりから。

でも、すべての会社に今すぐ必要なわけではない。

先に条件を確認しておけば、始めてから「思っていたのと違う」と止まるリスクは減らせる。

企業YouTubeが向いている会社

向いている会社には、共通点が4つあります。

  1. 顧客が検討に時間をかける商材:単価が高い、比較される、導入に不安がある。説明に時間がかかるほど、動画の出番が増えます。
  2. 「人」や「考え方」で選ばれる仕事:士業、コンサル、BtoBの専門サービスなど。顔と話し方が伝わるだけで、信頼の土台ができる。
  3. お客さんに同じ質問を何度もされている:その答えは、そのまま企画のネタになります。
  4. 半年以上、続ける覚悟と手段がある:人手でも予算でも、どちらかを確保できれば始められます。

今は「やらない」方がいいサイン

逆に、次のような状態なら、いったん立ち止まることをおすすめします。

  • 目的が「流行っているから」「競合がやっているから」だけ
  • 3か月で成果が出なければやめる、と決まっている
  • 動画を見た人の受け皿(問い合わせフォーム、資料、相談窓口)がない
  • 出演・企画の判断をする人がいない
  • 社内の確認に毎回数週間かかる

特に見落とされがちなのが、最後の2つ。

企画のOKが出るまでに数週間かかる会社では、撮った動画が公開される頃にはネタの鮮度が落ちていることもあります。

社内稟議の判子リレーが、YouTubeでいちばん重い工程になる。笑い話のようで、実際によく起きることです。

判断チェックリスト(社内会議用)

「はい」の数で、今の立ち位置が分かります。

  • 1. YouTubeで達成したい目的を、1つの言葉で言える
  • 2. その目的の数字(応募数・問い合わせ数など)を、今も測っている
  • 3. 顧客によく聞かれる質問を10個以上書き出せる
  • 4. 動画を見た人が進む先(資料・LP・相談フォーム)がある
  • 5. 出演できる人(社長・専門家・社員)がいる
  • 6. 企画を決める人が1人に決まっている
  • 7. 半年間、月4本程度を続けられる人手か予算がある
  • 8. 半年は「数字を見て直す期間」と社内で合意できる

結果の見方

  • 7〜8個:始める準備はおおむね整っています。第6章の始め方へ。
  • 4〜6個:始められます。ただ、「いいえ」の項目を最初の30日で埋めてください。
  • 0〜3個:まずは目的と受け皿づくりから。動画を作るのは、その後でも遅くありません。

メモ

ここでの「月4本」は、続ける体制を測るための目安です。適切な本数は目的や業種で変わります。

社内に出す企画書を書く方へ

やると決めたら、次は社内に出す企画書です。目的・KPI・初年度の予算・体制を書き込める8枚のシートと、稟議用の1枚をまとめた「企業YouTubeの企画書テンプレート」を無料で配布しています。

3.企業YouTubeの目的は5つ。最初は1つに絞る

結論

企業YouTubeの目的は5つに分けられます。最初の半年は、そのうち1つだけに絞ってください。

企業YouTubeの目的は、大きく分けると5つあります。

どれを選ぶかで、出る人も企画も、見る数字も変わる。

目的 どんな会社に多いか 主な企画 最後に見る数字 途中で見る数字
① 認知・ブランディング 業界では有名だが一般には無名 仕事の裏側、技術解説 指名検索、サイト流入 再生数、インプレッション
② 採用 採用に課題がある 社員の1日、座談会、社長の考え 応募数、面接での「動画を見た」率 採用系動画の視聴維持率
③ リード獲得 単価が高いBtoB 顧客の悩みの解説、比較、導入の流れ 問い合わせ、資料請求、商談 概要欄リンクのクリック
④ 専門家の信頼づくり 士業、コンサル、専門サービス 専門知識、よくある相談への回答 指名での相談、商談化率 視聴時間、コメントの質
⑤ 既存顧客・営業支援 サブスク、専門的な商材 使い方、よくある質問、商品説明 継続率、成約までの期間 リピート視聴、営業が送った動画の視聴率

なぜ1つに絞るのか

「採用も集客もブランディングも、全部まとめて」と考えがちです。

でも、目的を混ぜると企画がブレる。

学生向けの社員インタビューと、決裁者向けの専門解説では、話す内容も、話す人も、動画の長さも違います。

両方を同じチャンネルに並べると、どちらの視聴者にとっても「自分向けではない動画」が半分を占めることになります。

旅行の荷物を全部スーツケースに詰めようとして、ふたが閉まらない状態に近い。

まずは1つ。結果が出てから、2つ目を足しても遅くありません。

ポイント

表の「最後に見る数字」は、社内でもう測っている数字から選ぶと、YouTubeの前後で比べやすくなります。

目的を決めるための3つの質問

迷ったら、次の3つを社内で話してみてください。

  1. 今、会社の売上や成長を止めている「いちばんの詰まり」はどこか(認知・採用・商談・継続)
  2. その詰まりは、「説明が足りない」ことで起きていないか
  3. 半年後、どの数字が動いていたら「やってよかった」と言えるか

2つ目が「はい」なら、YouTubeが効く可能性は高い。

動画は、説明を代わりにしてくれる道具だからです。

4.企業YouTubeのメリット・デメリットと注意点

結論

いちばんのメリットは、信頼が積み上がることです。デメリットは、成果が出るまでに時間がかかることなんです。

メリットとデメリットは表裏一体。

企業YouTubeのメリット5つ(説明の手間が減る、信頼が先に届く、資産として残る、ほかの施策に使い回せる、採用のミスマッチが減る)とデメリット4つ(成果が出るまで時間がかかる、継続のための人手と予算が要る、社内の負担が見えにくい、炎上・誤情報のリスク)。

「長く見られる資産になる」の裏側には、「資産になるまで時間がかかる」があります。

両方を知ったうえで判断するのが、社内で揉めないコツです。

主なメリット

メリットは5つあります。

  1. 説明の手間が減る:営業や採用担当が毎回している説明を、動画が代わりにしてくれる。
  2. 信頼が先に届く:問い合わせの前に、話し方や考え方まで伝わる。初回の商談から話が進みやすくなります。
  3. 資産として残る:検索される悩みに答えた動画は、公開から時間がたっても見られ続ける。
  4. ほかの施策に使い回せる:動画は、サイト、営業メール、展示会、社内研修にも転用できます。
  5. 採用のミスマッチが減る:仕事の中身を見てから応募してもらえる。

デメリット

一方で、デメリットもはっきりあります。

  • 成果が出るまで時間がかかる:数か月〜年単位の積み上げになることが多い。
  • 継続のための人手と予算が要る:企画・撮影・編集・分析が毎月発生します。
  • 社内の負担が見えにくい:出演者の準備時間、確認の手間は、見積書に載りません。
  • 炎上・誤情報のリスク:発信が増えるほど、確認の仕組みが必要になる。

時間をかけて成果につながった実例もあります。

「kintone芸人」を運営するコムデックは、YouTubeとオウンドメディアの相互導線を強化したのが3年目で、その後に資料ダウンロードが目に見えて増えたと紹介しています(出典は記事末)。

最初の数か月で判断しない。これが前提です。

広告収益(収益化)を目的にしない理由

YouTubeには、条件を満たすと動画に広告が付き、収益を受け取れる仕組みがあります。

ただ、企業YouTubeでこれを目的にすると、判断を誤りやすい。

広告収益は再生数に比例しやすく、狙う相手を絞るほど不利になるからです。

企業YouTubeのゴールは、問い合わせや応募といった事業の数字。

士業や専門サービスなら、少ない再生でも1件の相談の方が、広告収益よりずっと重いはずです。

メモ

収益化の条件や審査の基準は変わることがあります。気になる場合は、最新のYouTubeヘルプで確認してください。

運用前に押さえる注意点

注意点は4つ。費用と同じく、ここは手を抜けない部分です。

注意点 起きやすいこと 事前にやること
コミュニティガイドライン 表現や題材によっては、警告や動画の制限を受けることがある 公開前のチェック項目に入れる
著作権・肖像権 BGM、画像、映り込み、社外の人の顔 使用素材の出どころを記録する。出演同意を書面でもらう
ステルスマーケティング 依頼した発信を、広告と分からない形で出す 広告・PRの表示ルールを社内で決める
情報管理 画面や背景に、社外秘や顧客情報が映る 撮影場所と画面共有のルールを決める

注意

法令やプラットフォームの規約は改定されることがあります。運用ルールを作るときは、最新の公式情報と社内の法務・広報担当に確認してください。

ここまで読んで「やっぱり成功例を見てから判断したい」と思った方は、企業YouTubeの成功事例で、BtoB企業の実例と目的別の型を確認できます。

5.チャンネルの種類:公式チャンネル型か、経営者・専門家型か

結論

会社で選ばれる商売なら公式チャンネル型、人で選ばれる商売なら経営者・専門家型が向いています。

企業YouTubeのチャンネルは、大きく2つの型に分かれます。

どちらを選ぶかで、続け方も成果の出方も変わる。

公式チャンネル型 経営者・専門家型
運営名義 会社名・ブランド名 社長・専門家の名前(会社名を併記)
出演 社員、複数人、ナレーション 経営者・専門家本人
強み 担当が変わっても続けやすい。会社の信用を背負える 人柄と専門性が伝わり、信頼が積もりやすい
弱み 誰が話しているかが見えにくく、印象に残りにくい 本人の時間と体調に左右される。本人が辞めると止まる
向く目的 認知、採用、既存顧客・営業支援 専門家の信頼づくり、リード獲得
向く会社 中堅〜大手、商品で選ばれる会社 士業、コンサル、BtoBの専門サービス、中小企業

専門家型が強い場面

中小企業やBtoBの専門サービスでは、専門家型の方が早く効くことが少なくありません。

理由は単純で、買い手が「誰に相談するか」で選んでいるからです。

実例を1つ紹介します。シミセーは、代表(中小企業診断士・元大手メーカーの調達バイヤー)が出演する「【公式】Setchan製造業ブログ」で、取適法の改正点を解説する動画を公開しました。

動画の中で映した資料をホワイトペーパーとして配り、製造業の40〜50代の管理職や調達部門に絞って届けました。

その結果、公開2か月で30リード、上場企業を含む中堅〜大手からのダウンロードも多数あったと紹介しています(同社の自己申告。出典は記事末)。

専門家が、狙った相手の「今まさに困っていること」に答えた。再生数の大小とは別のところで成果につながった例です。

迷ったら「合わせ技」

公式型か専門家型か、二者択一で考える必要はありません。

会社の公式チャンネルに、社長や専門家社員がレギュラー出演する形もあります。

コムデックの「kintone芸人」のように、会社のチャンネルで社員が顔を出し、出演した社員の知名度が上がった例もある。

注意したいのは、本人が忙しくなったときの手当てです。社長が出るチャンネルは、社長の繁忙期にそのまま止まりがち。

ポイント

本人の仕事は「話すだけ」にして、企画・撮影・編集は周りが持つ。これが専門家型を続けるコツです。

社長や専門家が顔を出して発信する型は、経営者・専門家のビジネスYouTubeでさらに詳しく解説しています。

6.企業YouTubeの始め方7ステップ

結論

アカウント作成は7ステップの5番目です。先にやるのは、目的と視聴者を決めることなんです。

始め方を調べると、まず「アカウントの作り方」が出てきます。

でも実は、アカウント作成は、作業としては短時間で終わる部分です。

時間をかけるべきは、その前の設計。ステップは7つあります。

企業YouTubeの始め方7ステップ。設計(1〜4):目的と「最後に見る数字」を決める、視聴者を1人に絞る、チャンネルの型と出演者を決める、企画の柱と3か月分のリストを作る。運用(5〜7):アカウントを作り基本設定を整える、次の一歩への「導線」をつくる、公開して数字で直す。

ステップ1:目的と「最後に見る数字」を決める

第3章の5つの目的から1つ選び、半年後に見る数字を1つ決めます。

「問い合わせ」「応募」「指名の相談」など、社内でもう測っている数字だと、比較しやすい。

ステップ2:視聴者を1人に絞る

「中小企業の経営者」では広すぎます。

「製造業の、40代の調達部門の管理職で、法改正への対応を急いでいる人」くらいまで絞る。シミセーの例がまさにそうでした。

絞るほど、企画の言葉は具体的になる。

ステップ3:チャンネルの型と出演者を決める

第5章の公式型か専門家型かを決め、出演者を決めます。

出演者には、「月に何時間なら出られるか」を先に確認しておきましょう。ここを曖昧にすると、3本目あたりで予定が合わなくなる。

ステップ4:企画の柱と、3か月分の企画リストを作る

顧客によく聞かれる質問、営業でいつも説明していること、検索されている悩み。

ここから企画の柱を3つ決め、3か月分のリストにします。リストがあれば撮影をまとめて行え、更新も止まりにくい。

ステップ5:アカウントを作り、基本設定を整える

ここで初めてアカウントを作ります。

企業で運営するなら、担当者個人のアカウントに紐づけず、複数の管理者を設定できる形(ブランドアカウントなど)で作るのが安心です。設定方法は変わることがあるため、最新のYouTubeヘルプで確認してください。

担当者の異動や退職で、チャンネルに誰もログインできなくなる事態を防げます。

あわせて、チャンネル名、説明文、アイコン、バナー、会社サイトへのリンクを整えます。

ステップ6:動画から次の一歩への「導線」をつくる

見た人がどこへ進むのかを、先に決めておく。概要欄の最初の数行、固定コメント、動画の最後の一言。

進む先は、資料、LP、相談フォームのどれか1つに絞るのが基本です。

具体的な置き方は、YouTubeから問い合わせにつなげる導線の記事で紹介しています。

ステップ7:公開して、数字で直す

公開したら、クリック率、視聴維持率、概要欄のクリック、最後に見る数字の順に確認します。

伸びた企画は増やし、弱い企画はやめる。この繰り返しです。

数字を見て直す工程の効果は、実例でも示されています。

LANYは、2020年から週1本続けていた「SEOおたく」を2025年にテコ入れし、サムネイルのレビュー工程を作ったうえで、概要欄の最初の3行と固定コメントに資料の導線を置きました。

その結果、前年同期比で問い合わせ3.5倍、YouTube経由のリード約1.5倍、平均CTRは2.87%から4.55%になったと公表しています(同社の自己申告。出典は記事末)。

見せ方と導線を直して、数字が動いた。ここが大事なところです。

アカウント開設の流れと初期設定

ステップ5の作業を、手順で並べるとこうなります。

  1. 会社で管理するGoogleアカウントを用意する(担当者の私用アカウントは使わない)
  2. YouTubeにログインし、会社名・ブランド名でチャンネルを作成する
  3. 管理者を複数人追加し、担当者が1人で抱えない状態にする
  4. チャンネル名、ハンドル、アイコン、バナーを設定する
  5. 説明文に「◯◯株式会社の公式チャンネル」であることと、事業内容を書く
  6. 会社サイトと、問い合わせ・資料請求ページへのリンクを設定する

公式であることを明記するのは、なりすましと区別してもらうためでもあります。

作業自体は、短時間で終わります。だからこそ、ステップ1〜4を先に終わらせておきたいところです。

注意

画面の名称や設定の手順は、YouTube側の更新で変わることがあります。作業の前に、最新のYouTubeヘルプで確認してください。

最初の90日の目安

期間 やること この期間のゴール
0〜30日 ステップ1〜5(目的・視聴者・型・企画リスト・アカウント) 「誰に・何を・なぜ」が1枚にまとまる
31〜60日 最初の数本を公開。ステップ6の導線を設置 数字を測れる状態になる
61〜90日 ステップ7。伸びた企画を増やし、弱い企画をやめる 次の3か月の方向が見える

メモ

90日は「成果が出る期間」ではなく、「方向が合っているかを確かめる期間」です。

YouTubeをサイトや広告、営業とどう組み合わせるかは、YouTubeマーケティングの全体像で解説しています。

最初の90日を、もう少し具体的に進めたい方へ

7つのステップの流れはつかめても、「最初の1本は何を撮ればいいのか」で手が止まりやすいんです。無料資料「企業YouTubeが伸びる仕組み」(全48ページ)では、そこから先を詳しく解説しています。

  • 視聴者の疑問から企画を考える方法
  • 役割の違う「最初の3本」のつなげ方
  • 公開後24時間・72時間・7日・30日の数字を見て、どこを直すか決める方法

7.企業YouTubeの費用は「何にかかるか」で考える

結論

費用は「どこまで自社でやるか」で決まります。まずは何にお金がかかるのか、内訳を知っておきましょう。

読者の疑問

「企業YouTubeっていくらかかるの?」は、いちばん多い質問の1つです。

ただ、一律の相場はない。

本数、動画の長さ、撮影の有無、どこまで外に頼むかで、大きく変わるからです。

そこでこの章では、金額ではなく「どこに費用が発生するか」を整理します。

費用が発生する6つの場所

費用がかかる場所は、6つに分けられます。

費用の場所 中身 内製の場合に見えにくいコスト
① 戦略設計 目的・視聴者・KPIの設計、競合チャンネルの分析 担当者の調査時間
② 企画・台本 企画リスト、構成、台本、キーワード調査 毎週の企画会議の時間
③ 撮影 機材、撮影場所、カメラマン、照明・音声 出演者と立ち会う社員の時間
④ 編集 カット、テロップ、BGM、図解 1本ごとの作業時間と修正の往復
⑤ サムネイル・タイトル デザイン、文言の検討、テスト 担当者の試行錯誤の時間
⑥ 運用・分析 公開作業、数字の確認、改善案、導線の調整 毎月の振り返り時間

見落としやすいのは、右の列。

内製は「お金がかからない」のではなく、「社員の時間で払っている」。

見積書には出てこない分、気づいたら担当者の残業で回っていた、ということになりがちです。

見積もりを比べるときの3つの確認

外注の見積もりを比べるときは、次の3つを確認してください。

  1. どの場所までが含まれているか:上の①〜⑥のうち、どこまでが範囲に入っているか。
  2. 何を成果とみなしているか:本数の納品か、数字の改善か。
  3. 修正と追加の扱い:修正の回数、追加撮影、企画変更時の費用。

「1本あたりの金額」だけで比べると、範囲の違う見積もりを並べることになります。

安く見えた見積もりに、企画も分析も入っていなかった。よくある話です。

予算の考え方

予算は「半年で何を達成したいか」から逆算すると考えやすくなります。

目的、必要な本数、自社で持てる作業を決めると、外に出す範囲が決まり、費用の枠も見えてきます。

注意

具体的な金額は、本数・尺・撮影の有無・依頼範囲で大きく変わります。複数社に同じ条件で見積もりを依頼し、範囲をそろえて比較してください。

すでに会社紹介や採用の動画を作ったことがある場合は、その素材をYouTube用に組み直せることもあります。

単発の動画制作との違いは、企業の動画制作の費用と流れでまとめています。

8.内製か外注か:全部を抱えない分け方

結論

決めることは自社に残し、手を動かす作業は外に出すのがおすすめです。境目は「判断」か「作業」かで引きましょう。

内製か外注かは、二択ではない。

作業ごとに、自社でやる部分と外に出す部分を分けるのが現実的です。

作業ごとの切り分け表

作業 内製向き 外注向き 理由
目的・KPIの決定 ◎ 相談役として 事業の判断は自社にしかできない
企画・台本 業界知識が要る部分 型づくり、キーワード調査 専門性は自社、伸びる型は外の知見
出演 ◎ ― 顔と言葉は代えがきかない
撮影・編集 簡単なものは可 ◎ 品質と継続のため
サムネイル・タイトル ― ◎ クリック率に影響しやすく、経験の差が出やすい
分析・改善 数字の確認 改善案の提案 数字の読み方に慣れが要る

3つの進め方

進め方 自社でやること 向いている会社 つまずきやすい点
内製 ほぼ全部 動画に慣れた人がいる 担当者1人に集中して止まる
制作だけ外注 目的・企画・出演・分析 企画は自社で回せる 数字を見て直す人がいない
企画〜運用まで外注 目的の決定・出演・最終判断 成果まで伴走してほしい 丸投げすると、自社の言葉が消える

実例では、コムデックが参考になります。

社内だけでは週2本の投稿が安定せず、外部チームを構築して週2本を継続していると紹介しています。

出演とテーマは自社、継続のための作業は外へ。内製で始めて、止まりそうなところだけ外に出す。現実的な進め方の1つです。

外注先を選ぶときの視点

外注先は、「作るだけ」の会社と、「企画と運用まで見る」会社でタイプが大きく分かれます。

撮影と編集の品質を比べたいなら制作会社、数字の改善まで任せたいなら運用まで見る会社。

自社に足りないのが「手」なのか「頭」なのかで選ぶと、ミスマッチが減ります。

ZiiiRA

……と書きつつ、両方足りないという声もよく聞きます。その場合は、まず「頭」から補う方が、遠回りになりにくい。

ポイント

どの進め方でも、目的と最後に見る数字だけは自社で持ち続けてください。ここを手放すと、外注先の良し悪しも判断できなくなります。

比較の具体的なポイントは、YouTube動画制作会社の選び方にまとめています。

9.企業YouTubeのよくある失敗5パターン

結論

失敗のほとんどは、「目的」「視聴者」「導線」「体制」「判断の早さ」のどれかが抜けていることが原因です。

よくある失敗は5つあります。

企業YouTubeのよくある失敗5パターンと対策。目的が抜けている:目的がないまま投稿だけ続く→見る数字と半年後の目標を決める。視聴者が抜けている:社内向けの映像をそのまま載せる→答える悩みを1行で言える動画だけ出す。導線が抜けている:再生は伸びるのに問い合わせがない→視聴者を確認し、進む先を1つ置く。体制が抜けている:担当者1人に任せきりで止まる→管理者を複数にし、作業を分ける。判断の早さが抜けている:3か月で判断してやめる→「半年は直す期間」と社内で合意。

どれも、始める前に少し決めておけば防げるもの。

失敗1:目的がないまま、投稿だけ続く

「とりあえず始めよう」でスタート。半年後、何が良くて何が悪いのか、誰も判断できません。

会議で出るのは「YouTubeって効果ないよね」という一言。

でも、効果がないのではなく、測っていないだけのことが多い。

対策:始める前に、最後に見る数字を1つと、半年後の目標を決める。

失敗2:社内向けの映像を、そのまま載せる

会社紹介ビデオ、展示会の映像、説明会の録画。

社内では立派でも、視聴者から見れば「自分に関係のない動画」。

対策:「視聴者のどの悩みに答える動画か」を1行で言えるものだけを出す。過去の映像は、短く切り分けてタイトルを付け直す。

失敗3:再生は伸びるのに、問い合わせがない

話題性のある企画で再生は回った。でも、見ていたのは見込み客ではなかった。

あるいは、見込み客は来ているのに、進む先がない。

LANYが概要欄の最初の3行と固定コメントに資料の導線を置いて成果を伸ばしたのは、まさにこの穴を埋めた例です。

対策:コメントや検索語句で視聴者の中身を確認し、進む先を1つ置く。

失敗4:担当者1人に任せきりで、止まる

企画・撮影・編集・分析をワンオペで抱え、異動や退職でチャンネルごと止まる。

アカウントの管理権限まで担当者個人に寄っていると、再開すらできなくなる。

対策:管理者を複数にする。作業を分け、外に出せる部分は早めに外へ。

失敗5:3か月で判断して、やめる

数本出して再生が伸びず、「向いていない」と結論を出す。

種をまいて1週間で畑を掘り返すようなもので、芽が出ていたかどうかも分からないまま終わります。

対策:最初に「半年は数字を見て直す期間」と社内で合意しておく。見る数字は、再生数より先にクリック率と視聴維持率。

10.企業YouTubeのよくある質問

結論

迷いやすい5つの質問に、結論からお答えします。

よくある質問のイメージイラスト
中小企業でも企業YouTubeは意味がある?

あります。

狙う相手を絞れるぶん、BtoBや専門サービスの中小企業はむしろ戦いやすいんです。

実際にLANYは、再生771回の士業向け動画から問い合わせが続き、1か月以内に受注した例を紹介しています。

顔出しをしないと成果は出ない?

顔出しなしでも始められます。

ただ、信頼づくりや問い合わせが目的なら、話す人の顔と声が見えるほうが信頼は積もりやすいでしょう。

難しい場合は、声と資料画面で解説する形も選べますよ。

ショート動画だけでもいい?

目的によります。

認知を広げるならショートは有力ですが、問い合わせや相談まで進んでもらうには、中身を伝える長い動画もあったほうがいいんです。

どれくらいの期間で成果が出る?

業種と目的で変わりますが、最初の90日は方向を確かめる期間と考えてください。

成果の判断は、半年以上の数字で行うのが安全です。

制作会社に全部任せてもいい?

作業は任せられます。ただし、目的と最後に見る数字を決めるのは自社です。

ここを任せてしまうと、本数は納品されても、事業の数字が動いたかどうかを誰も判断できなくなります。

ZiiiRAが支援現場で大事にしていること

ZiiiRAは、企業・経営者・専門家のビジネスYouTubeを、戦略設計から企画・制作、表現設計、運用・改善まで支援しています。

その中で大事にしているのは、再生数だけを追わず、事業の成果から逆算すること。

最初に決めるのは、本数でも編集の雰囲気でもない。この記事で繰り返してきた「目的」と「最後に見る数字」です。

もう1つは、無理な営業や、根拠のない約束はしないこと。

お話を伺い、YouTubeより先に整えるべきことがあると判断した場合も、正直にお伝えしています。第2章で「今はやらない方がいい」サインを書いたのも、同じ考えからです。

まとめ:企業YouTubeは「始め方」より先に「やる理由」を決める

結論

やるかどうかを判断して、目的を1つ決めてから始めましょう。

この記事のまとめのイメージイラスト

冒頭の問いに戻ります。

企業YouTubeは、とにかく始めた会社が勝つわけではない。やるかどうかを判断し、目的を1つに決めた会社が、成果につなげています。

  • 企業YouTubeは、検索され続ける営業資料・信頼の資産。ただし成果まで時間がかかる。
  • 始める前に、目的を1つ、最後に見る数字を1つ、出る人と受け皿を決める。
  • 費用は「どこまで自社でやるか」で決まる。判断は自社、作業は外へが続けやすい。

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やるか迷っている。成功例を見て判断したい 企業YouTubeの成功事例 第4章
社長や専門家が出る形を検討している 経営者・専門家のビジネスYouTube 第5章
始めることは決まった。全体の設計を知りたい YouTubeマーケティングの全体像 第6章
動画から問い合わせにつなげたい YouTubeから問い合わせにつなげる導線 第6章 ステップ6
外注先を比べたい YouTube動画制作会社の選び方 第8章

※各記事へのリンクは、表の右列の章に置いています。

次の1アクション

まずは、第2章の判断チェックリストに答えてみてください。

「はい」が3つ以下なら、動画を作る前に、目的を1つ決めるところから始めましょう。

ZiiiRAの無料資料と相談のイメージイラスト

無料資料:YouTube運用代行の費用比較と選び方(全36ページ)

読者の疑問

「外に任せる部分は決めた。で、どこに、どの範囲で頼めばいいの?」という方へ。

  • 任せる範囲を決めてから、見積もりを比べられるようになります
  • 月額だけでなく、社内の手間まで含めて比べられます
  • 契約前のチェックリストで、確かめ忘れを防げます

8章の「内製か外注か」で外に出すと決めた作業を、どこに・どの範囲で頼むかを決めるための資料です。

「うちは今やるべきか」を一度話して整理したい方は、無料相談もどうぞ。ZiiiRAはこれまで80以上のチャンネルを支援してきました(※成果は案件・期間・市場環境によって異なります)。

支援内容はサービス紹介にまとめています。無理な営業や、根拠のない約束はしません。お話を伺い、難しいと判断した場合も正直にお伝えします。

ZiiiRA

運営会社:ZiiiRA

企業・経営者・専門家のビジネスYouTubeを、戦略設計から企画・制作、運用・改善まで支援しています。支援チャンネル数80以上、累計制作本数3,000本以上(ロング・ショート合計)。※成果は、案件・期間・市場環境によって異なります。

サービス内容を見る

出典

  • コムデックAIラボ「BtoB企業はYouTubeをやるべき!オウンドメディアとの連携強化で問い合わせの増大に成功した事例から戦略・運用のポイントを解説」 https://www.comdec.jp/comdeclab/dxart-02/
  • くろぎ(株式会社LANY)「LANYがBtoBのYouTubeにテコ入れしてリード獲得数1.5倍&お問い合わせ数3.5倍に伸ばした振り返り」(2025年5月19日) https://note.com/kurogiworld/n/n25bd8abc7daf
  • 株式会社シミセー「製造業のYouTubeマーケティングの方法とは?2か月で30リード獲得した自社事例を大公開!」 https://shimisee.com/youtube-wp-dl/

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※2026年10月時点の情報です。