
「そろそろ動画広告を始めたい」と考えて調べ始めると、インストリーム、バンパー、インフィード、CPV、CPMと、聞き慣れない言葉が次々に出てきて、手が止まってしまったことはないでしょうか。YouTubeにするかTikTokにするか、社内で聞かれても答えにくいですよね。
実は、動画広告は「どこに流れるか」と「何にお金を払うか」の2つで整理すると、ぐっと分かりやすくなるんです。
動画広告の国内の市場は、2025年に8,855億円まで伸び、2026年には1兆円を超えると予測されています。広告を出す企業が増えているぶん、目的があいまいなまま出した広告は埋もれやすくなっているとも言えますね。だからこそ、出す前に「何のために出すのか」と「どこに出すのか」を決めておくことが大切です。代理店から提案を受ける場合も、この2つが分かっていれば、提案の良し悪しを自分で判断できるようになりますよ。
この記事では、動画広告の基本と市場の大きさ、種類、主な媒体の違い、課金の仕組みと単価の目安、媒体の選び方、始め方、見るべき数字、実際の企業の例まで、順番にお話ししますね。
先に答え
動画広告は、目的を1つ決めてから媒体を1つ選ぶと失敗しにくくなります。
動画広告とは、YouTubeやSNS、テレビ向けの配信サービスなどで、動画を使って届ける広告のことです。種類も媒体も多いのですが、「知ってもらいたいのか、理解してもらいたいのか、行動してもらいたいのか」を先に決めると、選ぶべき種類と課金の方法が自然に絞られるんです。最初は1つの媒体で小さく試し、数字を見てから広げていきましょう。
この記事のポイント
- 動画広告の意味と、市場がどのくらい伸びているか
- 流れる場所で分かれる4つの種類と、主な媒体の違い
- CPV・CPM・CPCといった課金の仕組みと、単価の目安
- 目的から媒体を選ぶ早見表と、始め方の5つの手順
- 目的ごとに見るべき数字と、実例3社
こんな人向け
これから動画広告を始める企業のマーケティング担当者や、広告の方針を決める経営者に向けて書いています。「代理店の提案を判断できるようになりたい」「どの媒体から始めればいいか決めたい」という方に役立つ内容です。
YouTube広告の費用だけを詳しく知りたい方は、→ YouTube広告の費用と予算の決め方 を先に読んでみてください。この記事では、動画広告の全体像と媒体の選び方に絞ってお話しします。
目次
1.動画広告とは:音と動きで伝えるネット広告
結論
動画広告は、テレビCMよりも小さく始められ、届ける相手を選べる広告です。
動画広告という言葉は、広い意味ではテレビCMや駅のデジタルサイネージも含みます。ですが、ふだん「動画広告」と言うときは、YouTubeの動画の前に流れる広告や、SNSのフィードに流れてくる広告のような、インターネット上の動画の広告を指すことがほとんどですね。

市場は1年で約2割伸びている
サイバーエージェントとデジタルインファクトの調査では、2025年の国内の動画広告の市場は8,855億円で、前の年の122.2%に伸びました。2026年には1兆437億円、2029年には1兆6,336億円になると予測されています。
中身を見ると、スマートフォン向けが7,053億円と全体の約8割を占めているんです。スマートフォン向けのうち、縦型の動画広告は2,049億円まで増えています。テレビの画面でネットの動画を見る「コネクテッドテレビ」向けも1,295億円(前の年の127%)と伸びています。
広告を出す側から見ると、スマートフォンの縦型とテレビの大きな画面の両方に、届け先が広がっていると言えますね。
静止画の広告との違い
静止画の広告(バナー広告)と比べると、動画広告には次のような違いがあります。
| 比べる点 | 動画広告 | 静止画の広告 |
|---|---|---|
| 伝えられる情報の量 | 多い(音・動き・話し手で使い方まで見せられる) | 少ない(1枚の画像と短い文) |
| 印象の残りやすさ | 残りやすい | 見過ごされやすい |
| 作る手間と費用 | 大きい(撮影・編集が必要) | 小さい |
| 向いている使い方 | 商品の使い方や、会社の雰囲気を伝える | セールの告知や、すでに知っている人への後押し |
いちばんの違いは、短い時間で「使っている場面」まで見せられることです。そのぶん作る手間はかかるので、何に使うかを決めてから作ることが大切になります。
2.動画広告のメリットとデメリット
結論
伝わる量が多い反面、最初の数秒で見るのをやめられやすい広告です。
始める前に、良いところと気をつけたいところを両方おさえておきましょう。
メリット
- 伝わる量が多い:音と動きで、商品の使い方やサービスの流れを短い時間で見せられる
- 届ける相手を選べる:年齢や地域、興味、検索した言葉などで、見てほしい人に絞って流せる
- 小さく始められる:テレビCMと違い、少ない予算から出して、反応を見ながら増やせる
- 結果が数字で分かる:表示された回数、見られた割合、クリックの数などを毎日確かめられる
デメリット
- 作る手間がかかる:撮影と編集が必要で、静止画の広告より制作費が大きくなりやすい
- すぐ飛ばされる:スキップできる広告では、最初の数秒で興味を持ってもらえないと見てもらえない
- 作り直しが必要:同じ動画を流し続けると反応が落ちるため、定期的に新しい動画を足す必要がある
デメリットのうち「作る手間」は、1回の撮影から長さ違い・縦横違いの動画を作っておくと、かなり小さくできますよ。
3.動画広告の種類:流れる場所で4つに分かれる
結論
種類は「どこに、どんな形で流れるか」で4つに分けると覚えやすくなります。
動画広告の種類はたくさんあるように見えますが、流れる場所で分けると、次の4つにまとまります。
| 種類 | 流れる場所 | 主な例 | 向いている目的 |
|---|---|---|---|
| インストリーム広告 | 動画の前・途中・後 | YouTubeのスキップ可能な広告、スキップできない広告、6秒のバンパー広告 | 知ってもらう・理解してもらう |
| インフィード広告 | 検索結果やおすすめの一覧の中 | YouTubeのインフィード動画広告、SNSのフィードの広告 | 興味のある人に見てもらう |
| 縦型のフィード広告 | 縦型の短い動画の合間 | YouTubeショートの広告、Instagramのリール広告、TikTokの広告 | スマートフォンで若い層にも届ける |
| アウトストリーム広告 | ニュースの記事の間やアプリの広告枠 | 記事の途中で流れる広告(インリード広告)、バナーの枠の動画(インバナー広告) | 動画サービスを使わない人にも届ける |

YouTubeのインストリーム広告は3つに分かれる
いちばんよく使われるインストリーム広告は、YouTubeの場合、さらに3つに分かれます。Googleのヘルプに書かれている決まりを見てみましょう。
- スキップ可能なインストリーム広告:再生から5秒たつと、見ている人が飛ばせる。長さの上限はなく、3分未満がすすめられている
- スキップ不可のインストリーム広告:最後まで見てもらえる。長さは15〜60秒で、キャンペーンの種類によって変わる
- バンパー広告:6秒以内のスキップできない短い広告。名前やひと言を覚えてもらう使い方に向く
このほかに、YouTubeのトップページのいちばん目立つ場所に出る「マストヘッド広告」もあります。こちらは予約して買う形で、Googleの営業担当を通じて申し込む広告なんです。
「スキップできない広告」は長所と短所が表裏一体
スキップできない広告は、最後までメッセージを届けられるのが強みです。その一方で、見ている人に「待たされた」と感じさせやすいので、短く、すぐに伝わる中身にしておく必要があります。初めて名前を知ってもらうなら、まずはスキップ可能な広告で冒頭5秒に要点を入れるほうが、受け入れられやすいでしょう。
4.主な媒体と、向いている目的
結論
媒体は「見ている人」と「見ているときの気分」で選びます。
同じ動画広告でも、どの媒体に出すかで、届く相手も見られ方も変わるんです。主な媒体の特徴を表にまとめました。
| 媒体 | 主な広告の形 | 見ている人の傾向 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| YouTube | 横型のインストリーム、インフィード、ショート | 幅広い年代。調べものやじっくり見る目的でも使われる | 認知から理解、問い合わせまで幅広く |
| TikTok | 縦型のフィード広告 | 10〜30代が中心だが、年々広がっている | 若い層への認知、共感を呼ぶ話し方の動画 |
| Instagram・Facebook | リール、ストーリーズ、フィード | Instagramは20〜40代、Facebookは30〜50代のビジネス層 | 見た目で伝わる商品、BtoBの認知 |
| LINE・Yahoo! JAPAN | トークの一覧やニュースの中の動画 | 40〜60代まで幅広い | 国内で幅広い年代に届ける |
| テレビ向けの配信サービス(TVerなど) | 番組の前や途中 | テレビで見る人 | テレビCMに近い形で、大きな画面で見せる |
見ている人の傾向は、各媒体の公開資料や広告会社の解説に書かれている一般的なものです。自社の顧客がどの媒体をよく使っているかは、アンケートや問い合わせのときの聞き取りで確かめておくと安心ですね。
BtoBの場合も、動画広告が使えないわけではありません。YouTubeやFacebookでは、仕事に関わる興味や、検索した言葉などを手がかりに絞って流せるため、意思決定する人に向けた認知にも使われています。役職をどこまで直接指定できるかは媒体によって違うので、配信の前に管理画面で確かめておきましょう。
Instagramの広告にかかるお金をもっと詳しく知りたい方は、→ インスタ広告の費用と予算の決め方 をあわせて読んでみてください。
5.課金の仕組みと単価の目安
結論
単価は「何に対して払うか」が違うので、そのまま横に並べて比べないことが大切です。
動画広告の多くは、オークションで単価が決まる「運用型」の広告なんです。決まった定価はなく、同じ媒体でも、狙う相手や時期によって単価が変わります。

主な課金の方法
| 課金の方法 | お金がかかるタイミング | 向いている目的 |
|---|---|---|
| CPV(広告視聴単価) | 決まった長さまで見られたとき、または広告が操作されたとき | 内容をしっかり見てもらう |
| CPM(1,000回表示あたり) | 広告が1,000回表示されるごと | できるだけ多くの人に知ってもらう |
| CPC(クリック単価) | 広告がクリックされたとき | サイトに来てもらう |
このほかに、問い合わせや購入を増やしたいときは「目標コンバージョン単価(目標CPA)」という入札の設定を使います。これは成果1件あたりの費用を目標にして自動で入札する仕組みで、成果が出たときだけお金がかかるわけではありません。YouTubeの場合、お金がかかるのは広告が表示されたときです。
YouTubeのスキップ可能な広告をCPVで出す場合、お金がかかるのは、30秒(30秒未満の広告は最後まで)見られたときか、広告が操作されたときです。YouTubeショートの広告では、10秒見られたときなどに数えられます。決まった長さまで見られる前に飛ばされ、操作もされなかった広告にはお金がかからないので、見てもらえた分だけ払う仕組みと言えますね。
媒体ごとの単価の目安
公開されている単価の目安は、次のとおりです。
| 媒体と形 | 課金の方法 | 単価の目安 |
|---|---|---|
| YouTube(インストリーム) | CPV | 1回の視聴あたり2〜20円 |
| YouTube(6秒のバンパー) | CPM | 1,000回表示あたり300〜700円 |
| Instagram・Facebook | CPM | 1,000回表示あたり500〜1,500円 |
| TikTok | CPM | 1,000回表示あたり400〜1,000円 |
| TikTok | CPV | 1回の視聴あたり5〜60円 |
出典はStockSunの解説(2026年9月10日更新)です。BtoB向けに職種や役職で細かく絞ると、YouTubeのCPMが1,500〜4,000円まで上がることもあると書かれています。あくまで目安なので、実際の単価は配信を始めてから確かめるようにしましょう。
「1回いくら」より「1件いくら」で考える
単価が安い媒体が、必ずしも良い媒体とは限りません。1回の視聴が安くても、問い合わせにつながらなければ、広告費は成果に変わらないからです。
問い合わせや購入を目的にした広告で最後に見たいのは、1件にいくらかかったか、という点ですね。名前を知ってもらう広告なら、第8章のように届いた人数や覚えている人の割合で判断します。たとえば、問い合わせ1件に3万円かかり、そのうち10件に1件が成約するなら、成約1件の広告費は30万円になります。この金額で利益が残るかどうかで、続けるかを判断しましょう。
YouTube広告の場合の、予算の決め方や試算の方法は → YouTube広告の費用と予算の決め方 で詳しく整理しています。
どの媒体から始めるか、費用の単位をそろえて決めたい方へ
YouTube・TikTok・Instagramのどこに最初に出すかを決める物差しと、媒体ごとの費用を同じ単位で比べる方法をまとめた無料資料「動画広告は、どの媒体に出すか」(全28ページ)を、資料のページで公開しています。
- 5つの物差しで、最初に出す媒体を決められます
- 単価の単位をそろえて、媒体ごとの費用を比べられます
6.媒体の選び方:目的→届けたい人→受け皿の順で決める
結論
3つの質問に順に答えると、最初の媒体が1つに絞れます。
媒体選びで迷う一番の理由は、「全部よさそうに見える」ことではないでしょうか。次の3つの質問に順番に答えていくと、候補がしぼれます。

質問1:見た人に、何をしてほしいか
まずは目的を1つに決めます。「知ってほしい」「内容を理解してほしい」「問い合わせや購入をしてほしい」のどれかを選んでください。目的が決まると、選ぶ課金の方法も決まります。
質問2:届けたい人は、どの媒体をよく使っているか
次に、届けたい人がふだん使っている媒体を考えます。若い層ならTikTokやInstagram、幅広い年代ならYouTubeやLINE、ビジネスの意思決定する人ならYouTubeやFacebookが候補になりますね。
質問3:広告を見たあとの受け皿はあるか
最後に、広告を見た人が次に何を見るかを確かめます。問い合わせを増やしたいなら、広告の内容とつながったページ(LP)が必要になりますね。YouTubeなら自社のチャンネル、Instagramならアカウントの投稿が、受け皿になることもあります。
早見表:目的ごとの最初の1手
| 目的 | 最初に試しやすい組み合わせ | 主な課金の方法 | まず見る数字 |
|---|---|---|---|
| 名前を知ってもらう | YouTubeのバンパー広告、TikTokの広告 | CPM | 届いた人数、広告を覚えている人の割合 |
| 内容を理解してもらう | YouTubeのスキップ可能な広告(30秒前後) | CPV | 見られた割合、最後まで見られた割合 |
| 若い層に共感してもらう | TikTok、Instagramのリール | CPM・CPV | 2秒・6秒まで見られた割合、保存やコメント |
| 問い合わせ・購入を増やす | YouTube、Meta(Instagram・Facebook)の成果を目標にした配信 | 目標CPA(入札の設定) | 問い合わせ1件あたりの費用 |
| テレビCMを補う | YouTube、テレビ向けの配信サービス | CPM | 届いた人数、テレビCMと重ならずに届いた人 |
ここで大切なのは、最初から全部に出さないことです。1つの媒体で数字がそろってから、2つ目を足すほうが、どこが効いたのかが分かりやすくなります。
7.動画広告の始め方:5つの手順
結論
「目的と数字を決める→動画を用意する→小さく出して直す」の順に進めます。
初めての方でも、次の5つの手順で進めれば迷いにくくなります。
- 目的と目標の数字を決める:たとえば「3か月で問い合わせを月20件」のように、期間と件数まで決める
- 媒体を1つと、予算を決める:第6章の早見表で媒体を選び、1件あたりにかけてよい費用から月の予算を逆算する
- 動画を用意する:1回の撮影から、6秒・15秒・30秒と、横型・縦型を作り分けておく
- 小さく配信する:届ける相手を広めに設定し、2〜4週間は大きく変えずに数字をためる
- 数字を見て直す:見られた割合が低ければ冒頭を、クリックが少なければ最後の呼びかけを直す

動画は「冒頭5秒」と「音なし」を前提に作る
スキップ可能な広告は5秒で飛ばせるので、最初の5秒に、誰に向けた動画で、何が得られるかを入れておきましょう。また、SNSでは音を消して見ている人も多いため、話している内容を字幕で出しておくと伝わりやすくなります。
動画の作り方そのものや、外に頼む場合の費用は、→ 動画制作の費用相場 や → ショート動画制作の相場と依頼先の選び方 で詳しく紹介しています。
少額から出せる媒体もある
運用型の動画広告は、少ない予算から出すことができます。たとえばTikTokの広告は、公式ヘルプの基準で、キャンペーンの1日の予算が50米ドル以上、広告グループの1日の予算が20米ドル以上と決められているんです。日本円のアカウントで実際に使われる下限の金額は、管理画面で確かめてください。
ただし、出せる金額と、効果を判断できる金額は別ものです。数字がたまらないうちに止めてしまうと、何も分からないまま終わってしまうので注意しましょう。
8.効果の測り方:見る数字を目的で分ける
結論
目的ごとに見る数字を2〜3個に絞ると、良し悪しを判断しやすくなります。
動画広告の管理画面には、たくさんの数字が並びます。全部を追いかけると判断がぶれるので、目的に合わせて見る数字を決めておきましょう。

| 目的 | 見る数字 | 数字の意味 |
|---|---|---|
| 知ってもらう | 届いた人数(リーチ)、表示の回数、広告を覚えている人の割合 | どれだけの人に届き、覚えてもらえたか |
| 理解してもらう | 視聴率、25%・50%・100%まで見られた割合 | どこで見るのをやめられたか |
| 行動してもらう | クリック率、問い合わせの数、1件あたりの費用 | 広告費が成果に変わっているか |
「広告を覚えている人の割合」は、YouTubeでは「ブランドリフト調査」という仕組みで測れる場合があります。広告を見た人と見ていない人にアンケートをとり、覚えている人や興味を持った人の差を比べる方法です。
見られた割合のグラフで、急に下がっている秒数があれば、その直前の場面を見直してみてください。後で紹介するビズリーチの例でも、秒数ごとにどこで見るのをやめられたかを分析して、言葉の順番を入れ替えていました。
9.実例:動画広告で成果を出した3社
結論
3社とも、目的に合わせて媒体と動画の作り方を決めていました。
ここでは、目的の違う3つの例を紹介します。どれも公開されている資料や記事の内容で、数字はそれぞれの公開時点のものです。
実例1|星野リゾート(都市ホテル「OMO」):YouTubeだけで、テレビCMと同じくらい覚えてもらえた
星野リゾートが運営する都市ホテル「OMO」は、それまでテレビCMで名前を広めていました。ですが、名前は知られても、どんなホテルかが伝わらず、泊まりたい気持ちにつながっていなかったそうなんです。
- 目的:「国内旅行に年1回以上行く人」に、名前だけでなくホテルの楽しさまで理解してもらう
- 作り方:女性の友人どうし、カップル、家族などが楽しむ26の場面を撮影し、見る人に合わせて組み合わせた30秒のCMを何種類も流した
- 配信:2024年9〜12月に、YouTubeだけで配信。多くの人に届ける広告と、旅行に関心が高い人に見てもらう広告(インストリーム)を同時に使った
- 公開されている成果:CMを覚えている人は28.0%で、前回のテレビCMと同じくらい。CMを覚えている人のうち、好きだと答えた人は43.2%(前回比+10.1%)、泊まりたいと答えた人は44.4%(前回比+8.9%)だった
- 出典:Google「YouTube Works Awards Japan 2025」事例集、星野リゾートのプレスリリース(2025年6月20日)
ZiiiRA
ポイント:1回の撮影で多くの場面を撮っておき、見る人ごとに組み替えた点が参考になります。第7章の「長さ違い・縦横違いを作り分ける」を、さらに進めたやり方と言えますね。
実例2|ビーケージャパン(バーガーキング):限られた予算で、出店につながる情報を集めた
バーガーキングを日本で運営するビーケージャパンは、店を増やしたいのに、出店できる空き物件を探す人手とお金が足りないことに悩んでいました。
- 目的:ファンに空き物件の情報を寄せてもらい、新しい店を出す
- 作り方:キャンペーンの内容と応募の方法を、明るく楽しい雰囲気の動画で分かりやすく説明した。紹介した物件で出店が決まると、最初に紹介した人に10万円を贈る仕組みにした
- 配信:2024年2月5日〜3月25日に、多くの人に届けるYouTubeの広告で配信。広告に使った費用は200万円で、キャンペーン全体の費用は1,200万円だった
- 公開されている成果:応募は始まって24時間で約2万件、最終的に7万8,000件を超えた。寄せられた物件から、12か所の出店が実現した
- 出典:Google「YouTube Works Awards Japan 2025」事例集、ビーケージャパンのプレスリリース(2024年10月22日)
ZiiiRA
ポイント:動画広告で「売る」のではなく、「応募してもらう」という行動を目的にした点が参考になりますね。公開されている数字はキャンペーン全体のもので、動画広告だけの効果は分かりません。それでも、何をしてほしいかを1つに決め、参加の方法を分かりやすく伝えた作り方は、自社でも取り入れやすいはずです。
実例3|ビズリーチ(転職サイト):3回目の挑戦で、TikTokの広告の効率を上げた
即戦力の人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」は、2023年1月にTikTokの広告を始めました。会員を増やしながら、新しい層にも届けることがねらいだったんです。
- 1回目:いわゆる「広告らしい」動画を作ったが、なかなか成果につながらなかった
- 2回目:2024年1月に、外部のクリエイターと投稿のような雰囲気の動画を作ったが、手間がかかり、改善を回しきれなかった
- 3回目:2025年2月に、静止画を作っていた社内のデザインチームと組み、社内で動画を作る体制にした。「今の年収って正直どうなんだろう」のように、一人称で語りかける作りに変えた
- 公開されている成果:効率を大幅に改善しながら、配信の量も大きく伸びたと語られている。数字の詳しい値は公開されていない
- 出典:アドタイ(宣伝会議)のTikTok for Businessの記事(2025年7月31日公開)
ZiiiRA
ポイント:媒体の雰囲気に合わせた話し方に変え、社内で速く作り直せるようにした点が学びになります。秒数ごとにどこで見るのをやめられたかを分析し、言葉の順番まで直していたのも参考になりますね。
3社の比較
| 比べる点 | 星野リゾート(OMO) | ビーケージャパン(バーガーキング) | ビズリーチ |
|---|---|---|---|
| 目的 | ホテルの楽しさを理解してもらう | 空き物件の情報を寄せてもらう | 会員を増やし、新しい層に届ける |
| 媒体 | YouTubeだけ | YouTube | TikTok |
| 動画の工夫 | 26の場面を、見る人に合わせて組み合わせる | 参加の方法を楽しく分かりやすく説明する | 一人称で語りかけ、社内で速く作り直す |
| 公開されている成果 | 覚えている人はテレビCMと同じくらい、好き・泊まりたいが上昇 | 応募7万8,000件超、12か所で出店 | 効率を大幅に改善し、配信量も伸びた |
3社に共通しているのは、媒体を先に決めたのではなく、「見た人にしてほしいこと」から媒体と動画の作り方を決めている点です。まずは自社の目的に近い会社のやり方から、取り入れてみてください。
10.自社で運用するか、任せるか
結論
最初の数か月は、数字を見る人を社内に1人決めておくと安心です。
動画広告は、動画を作る仕事と、配信を調整する仕事の2つに分かれます。どちらも外に任せることはできますが、目的と目標の数字を決めるのは、自社でしかできない仕事なんです。
- 自社で運用する場合:手数料がかからず、数字を直接見て早く判断できる。その代わり、管理画面の操作と動画の作り直しに時間がかかる
- 外に任せる場合:設定や改善の経験を借りられる。その代わり、手数料がかかり、目的があいまいなままだと、単価だけが良く見える報告になりやすい
広告だけでなく、YouTubeのチャンネルを育てて、広告を止めても見てもらえる状態を作りたい場合は、運用をまとめて任せる方法もありますよ。その費用の目安は → YouTube運用代行の費用と選び方 で整理しています。
11.動画広告のよくある質問
動画広告は1回いくらかかりますか?
決まった定価はなく、オークションで単価が決まります。公開されている目安では、YouTubeのスキップ可能な広告が1回の視聴あたり2〜20円、Instagram・Facebookが1,000回表示あたり500〜1,500円ほどです。業種や狙う相手、時期によって変わるので、実際の単価は配信しながら確かめてください。
動画広告にはどんな種類がありますか?
流れる場所で分けると、動画の前や途中に流れる「インストリーム広告」、検索結果やおすすめの一覧に出る「インフィード広告」、縦型の短い動画の合間に出る「縦型のフィード広告」、記事やアプリの広告枠に出る「アウトストリーム広告」の4つにまとまります。
動画広告とディスプレイ広告の違いは何ですか?
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠に出る広告で、画像だけのものも動画のものもあります。動画広告は、動画を使った広告全体を指す言葉なので、ディスプレイ広告の枠に流れる動画も、動画広告の一つと言えますね。
スキップできない動画広告とは何ですか?
最後まで飛ばせない動画広告のことです。YouTubeでは、15〜60秒の「スキップ不可のインストリーム広告」と、6秒以内の「バンパー広告」があります。最後までメッセージを届けられる一方で、長いと嫌がられやすいので、短く分かりやすい中身にしておきましょう。
動画広告は少ない予算でも始められますか?
運用型の動画広告は、少ない予算から始められます。ただし、少なすぎると数字がたまらず、効果を判断できません。目標の件数と、1件あたりにかけてよい費用から月の予算を逆算し、2〜4週間は続けられる金額で始めるのがおすすめです。
まとめ:動画広告は「してほしいこと」から媒体を選ぶ
結論
目的を1つ決め、1つの媒体で小さく始めて、数字を見て広げます。
動画広告が分かりにくく見えるのは、種類・媒体・課金の方法がばらばらに語られているからなんです。流れる場所と、何にお金を払うかで整理すると、選ぶべきものは自然に絞られます。
- 種類は、インストリーム・インフィード・縦型のフィード・アウトストリームの4つで考える
- 単価は「1回いくら」ではなく、目的に合った数字(問い合わせが目的なら「成果1件にいくらかかったか」)で判断する
- 最初は1つの媒体で2〜4週間試し、目的に合った数字を見てから2つ目を足す
次の1アクション
動画広告を見た人にしてほしいことを1つ決め、その人がふだん使っている媒体を2つ書き出してみてください。第6章の早見表と照らし合わせると、最初に試す媒体と課金の方法が決まります。
無料資料:動画広告は、どの媒体に出すか
動画広告をYouTube・TikTok・Instagramのどこに出すか決めたい企業の担当者に向けた、全28ページの資料です。
- 5つの物差しで、最初に出す媒体を決められます
- 単価の単位をそろえて、媒体ごとの費用を比べられます
- 2つ目の媒体を足す時期と、予算の配分を決められます
資料のページから、無料でダウンロードしていただけます。
動画広告の目的の決め方から、出す媒体の選び方まで一緒に整理したい方は、無料相談もご利用ください。無理な営業や、根拠のない約束はしません。お話を伺って難しいと判断した場合も、正直にお伝えします。
支援内容はサービス紹介にまとめています。
運営会社:ZiiiRA
企業・経営者・専門家のビジネスYouTubeを、戦略設計から企画・制作、運用・改善まで支援しています。支援チャンネル数80以上、累計制作本数3,000本以上(ロング・ショート合計。公式サイト掲載の実績)。※成果は、案件・期間・市場環境によって異なります。
出典
- サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場動向調査」(2026年3月9日発表) https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=33050
- Google 広告 ヘルプ「動画広告フォーマットの概要」 https://support.google.com/google-ads/answer/2375464?hl=ja
- Google 広告 ヘルプ「YouTube の広告視聴単価制について」 https://support.google.com/google-ads/answer/2472735?hl=ja
- StockSun「動画広告の単価はいくら?CPV・CPM・CPA別の相場と費用対効果の正しい見方」(2026年9月10日更新) https://stock-sun.com/column/video-ad-cost/
- TaTap「TikTok広告の費用【2026】最低予算と6ステップ」(TikTok公式ヘルプの最低予算を引用) https://tatap.jp/knowledge/tiktok-ads-cost-guide/
- Google「YouTube Works Awards Japan 2025」受賞作品の事例集 https://services.google.com/fh/files/events/ytwa2025_casestudy_web.pdf
- 星野リゾート「OMOのCMがYouTube Works Awards Japan 2025の部門賞を受賞」(2025年6月20日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001586.000033064.html
- ビーケージャパンホールディングス「応募総数78,000件超!『バーガーキング® を増やそう』キャンペーン」(2024年10月22日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000297.000038980.html
- アドタイ(宣伝会議)「ビズリーチのTikTok活用戦略 クリエイティブ改善で効率的な広告配信を実現」(2025年7月31日公開) https://www.advertimes.com/20250731/article506204/
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※2026年10月時点の情報です。



